研究課題/領域番号 |
20K08639
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学総合研究センター, 教授 (20274780)
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研究分担者 |
鶴田 敏博 宮崎大学, 医学部, 准教授 (10389570)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 血圧変動性増大 / 動物モデル実験系 / 実験的治療 |
研究実績の概要 |
高血圧に加えて、血圧値の動揺(血圧変動性)の増大が、心血管疾患の危険因子であり、変動性増大と腎疾患や認知症との関連も指摘されている。血圧変動性への治療介入が、これらの疾患の発症予防や進展抑制につながる可能性がある。しかし、変動性増大の病態生理の解明が不十分で、治療手段が明確でなく、これらの課題を解決するための動物モデル実験系にも乏しい。本研究代表者らは、昇圧因子であるアンジオテンシンII(Ang II)またはノルアドレナリン(NA)を、比較的低用量にて、ラットに持続的に皮下投与することにより、血圧変動性増大の動物モデが作成可能であることを報告した。本研究は、研究1)血圧変動性増 大の動物モデル実験系の開発、研究2)変動性増大の機序と病態生理の解析解明、3)変動性増大に対する実験的治療、を行うことを目的としている。2021年度の研究成果として、研究1について、Ang IIおよびNA持続投与モデルを用いて、複数の変動性増大指標(SD、CV、ARV、VIM)と臓器障害との関連を明らかにして、モデルとしての意義を明確にした。また、研究2および3については、連続血圧モニタリングのデータをもとに、圧受容器機能の評価を試みて、血圧変動制増大の病態生理についての解析を進めた。また、種々の候補薬剤や生理活性物質の血圧変動性増大への効果を観察した。これらの結果、複数の新たな知見が得られ、それらの成果を関連学会にて発表して、現在、論文1編を投稿中、さらに1編を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血圧変動性増大ラットモデル実験系の開発・改良、および血圧変動性増大の機序と病態生理の解析が、おおむね順調に進み、それらの成果に関して、学会発表を行い、論文1編を投稿中であり、さらに1編を投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き以下の3つの観点から研究を進める。 1)血圧変動性増大ラットモデル実験系の開発・改良:昇圧・体液貯留促進因子が、血圧変動性を増大させる可能性が判明している。そこで、複数の候補因子を、単独、または組み合わせてラットに投与し、新たなモデル作成の可能性を検索する。 2)血圧変動性増大の病態生理の解析:血圧変動性増大モデルの臓器障害の程度を定量する。評価項目:脳:認知機能、心臓:左室肥大・線維化、BNP遺伝子発現、腎臓:蛋白尿、組織学的変化、血管:大血管および脳・心筋・腎臓内の細動脈の中膜肥厚や硝子変性。 3)実験的治療:治療薬探索と臓器障害への効果:昇圧系阻害または降圧系活性化が、血圧変動性を縮小させる可能性がある。昇圧系阻害薬、降圧系因子とその分解阻害薬の効果を観察する
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次年度使用額が生じた理由 |
比較的効率的に研究を実施することができた。さらに、新型コロナ感染拡大により、関連学会での発表を、オンラインで行わなければならず、出張のための旅費の支出がなかったためである。次年度使用額について、成果発表の旅費として使用する計画である。
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