研究課題
高血圧に加えて、血圧値の動揺(血圧変動性)の増大が、心血管疾患の危険因子であり、変動性増大と腎疾患や認知症との関連も指摘されている。すなわち、血圧変動性への治療介入が、これらの疾患の発症予防や進展抑制につながる可能性がある。しかし、変動性増大の病態生理の解明が不十分で、治療手段が明確でなく、これらの課題を解決するための動物モデル実験系にも乏しい。本研究代表者らは、アンジオテンシンII(Ang II)またはノルアドレナリン(NA)を、ラットに持続的に皮下投与することにより、血圧変動性増大の動物モデルが作成可能であることを報告した。本研究は、1)血圧変動性増大の動物モデル実験系の開発、2)変動性増大の機序と病態生理の解析解明、3)変動性増大に対する実験的治療、を目的として実施された。1)の成果として、Ang IIまたはNA投与ラットにおいて、複数の変動性増大指標(SD、CV、ARV、VIM)と臓器障害との関連を明らかにして、これらのラットのモデルとしての意義を明確にした。2)Ang II投与ラットの血圧変動性増大の機序として、圧受容器反射機能の低下が関連していることが明らかになり、圧受容器が存在する弓部大動脈の中膜肥厚を伴っていた。3)Ang II投与ラットにカルシウム拮抗薬(CCB)を投与したところ、大動脈中膜肥厚が抑制され、圧受容器反射機能は維持されて、血圧変動性増大も抑制された。これらの結果は、ヒトの症例におけるCCBの血圧変動性への効果と合致しており、代表者らが開発した動物モデルの有用性を示している。以上の成果を、国内外の学術集会にて発表して、国際英文雑誌に論文として公表した。
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J Renin Angiotensin Aldosterone Syst
巻: 2023 ページ: 4201342
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