研究課題
本研究の目的は、自己炎症性角化症 (autoinflammatory keratinization diseases: AiKD) の包括的病態解明を目指し、各々の患者に適したプレシジョンメディシン開発に直結する基礎的データを得ることである。研究計画にしたがって、2022年度は新しく病的バリアントが同定された症例と、データベースならびに今までに報告されている論文を比較検討して、発症年齢、皮疹の分布や性状、他臓器合併症の有無などを調べ、新規の遺伝型について包括的に解析した。薬効については、内服薬 (レチノイド剤のエトレチナートなど)、外用薬 (活性型ビタミンD3外用薬、サリチル酸ワセリン、尿素軟膏など) がある。さらに成人 (非妊娠時)、妊婦・授乳婦例と小児例のグループに分類して、それぞれ詳細に分析を行った。上記研究の成果として、AiKDsに含まれる汎発性膿疱性乾癬とCARD14-associated papulosquamous eruptionsの症例を発表した。具体的には、セルトリズマブペゴルが効果的であった汎発性膿疱性乾癬の症例、ビメキズマブと顆粒球単球吸着療法が著効した汎発性膿疱性乾癬の症例などを報告した。稀少難治性疾患である汎発性膿疱性乾癬患者の治療報告を行うことで、プレシジョンメディシン開発に繋がるデータを集積していきたい。並行して、AiKDsの一疾患である毛孔性紅色粃糠疹のモデルマウスの作成と解析を進めた。
3: やや遅れている
現在、3系統のAiKDモデルマウスの樹立・解析を進めているが、実験動物部門の改築やマウスの繁殖等の問題があり、やや遅れている。
AiKDモデルマウスの薬剤投与実験まで進めて、論文化する計画である。
現在AiKDモデルマウスの作成と樹立、解析を進めているが、実験動物部門の改修に伴う一時的な飼育スペースの減少やマウスの繁殖困難等があり、AiKDモデルマウスの解析が進んでいない。そのため、当初の計画より遅延が生じている。今後、AiKDモデルマウス、モデル細胞を用いた機能解析を進め、成果の取りまとめを行う。具体的には、マウス表皮のウェスタンブロッティングによるタンパク解析やシングルセルRNA sequenceによる遺伝子発現差解析、電子顕微鏡解析、抗体製剤による治療実験、成果発表の旅費等の費用として使用予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件)
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