研究課題
本研究の目的は、自己炎症性角化症の包括的病態解明を目指し、各々の患者に適したプレシジョンメディシン開発に直結する基礎的データを得ることである。研究計画にしたがって、2023年度は、病因遺伝子が明らかにされていない汎発性膿疱性乾癬 (generalized pustular psoriasis: GPP) と毛孔性紅色粃糠疹症例において、全エクソームシークエンス法で新規病因遺伝子を同定を行い、発症年齢、皮疹の分布や性状、他臓器合併症の有無などを調べ、新規の遺伝型について包括的に解析した。そして、皮膚組織を使った免疫組織化学を施行した。日本人のGPP患者24例の遺伝学的解析と統計解析を行った結果、GPP患者集団では、一般人と比べて、2つのMEFV遺伝子バリアント(p.Arg202Glnとp.Ser503Cys)を持つ頻度が高いことがわかった。さらに、この24例に加え、その他の無菌性膿疱を形成する膿疱性皮膚疾患(急性汎発性発疹性膿疱症、稽留性肢端性皮膚炎など)を加えた34例(GPP24例+GPP以外の膿疱性皮膚疾患10例)で同様の解析を行ったところ、この集団でも、上述の2つのMEFV遺伝子バリアントを持つ頻度が高いことがわかり、これらをまとめて報告した。今回の発見により、MEFV遺伝子のバリアントを持つGPP患者は、パイリンインフマソーム関連の炎症経路の異常と、その結果としてのインターロイキン1βやインターロイキン18の産生の上昇などの発症メカニズムを有する可能性が示された。
3: やや遅れている
現在、3系統の自己炎症性角化症モデルマウスの樹立・解析を進めているが、マウスの繁殖等の問題があり、やや遅れている。
自己炎症性角化症モデルマウスの発現解析と薬剤投与実験を完了し、論文発表する計画である。
現在、自己炎症性角化症モデルマウスの解析を進めているが、マウスの繁殖困難等がありマウスの解析が進んでいない。そのため当初の計画より遅延が生じている。今後、モデルマウスを用いた機能解析を進めて成果の取りまとめを行う。具体的には、マウス皮膚組織のウェスタンブロッティング、免疫組織化学によるタンパク質の発現解析やシングルセルRNA sequencingによる遺伝子発現差解析、電子顕微鏡解析、抗体製剤による治療実験、成果発表の旅費の費用として使用予定である。
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