インターロイキン(IL)-33とIL-37は、様々な炎症性疾患に関与する新しいサイトカインとして同定された。しかし、その役割はまだほとんど明らかにはなっていない。最近の研究で、炎症のトリガーとなるIL-33と炎症を抑制するIL-37は協調的に炎症と抗炎症のバランスを調節していることが分かってきた。炎症性皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎においてもIL-33とIL-37が病態に深く関わっている。我々は、表皮細胞におけるダイオキシン類の受容体である芳香族炭化水素受容体(Aryl Hydrocarbon Receptor: AHR)がIL-33とIL-37の発現を調節する機構を明らかにした。表皮細胞において、IL-33の発現はMAPKの活性化に依存しており、IL-37はMAPKを抑制する役割がある。さらに、IL-33はフィラグリン・ロリクリンをはじめとした皮膚バリア機能タンパクを低下させることで、皮膚バリア機能タンパクと共在するIL-37の発現を低下させる。アトピー性皮膚炎では、IL-33/IL-37軸のバランスが破綻しており、IL-33の増加とIL-37の低下によって病態が形成される。AHRに作用する薬剤はIL-33を低下させ、IL-37を増加させる効果から、IL-33/IL-37軸を正常な状態に戻し、病態を改善した。AHRを介したIL-33/IL-37軸による炎症と抗炎症のバランス調節は新しい治療法に結びつく可能性がある。
|