本研究は、エクリン汗腺分泌部の細胞における上皮間葉転換(EMT)に着目し、その分子動態を解析する。エクリン汗腺の機能異常は、近年社会問題となっている熱中症の一因となるため、特に発汗異常を伴う疾患において、生理・病態の理解が求められている。 特発性後天性全身性無汗症(AIGA)患者の皮膚の無汗部・正常部の検体より汗腺部分を切り出し、トランスクリプトーム解析を行ったところ、EMT関連分子の変化が見られた。また全身性強皮症患者皮膚において、特定のEMT関連転写因子が発現していた。本結果は汗腺の病的な変化にEMTによる細胞機能変化が関わることを示唆する。
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