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2020 年度 実施状況報告書

NKG2D、NKG2D ligand発現制御による円形脱毛症の新規治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K08668
研究機関浜松医科大学

研究代表者

伊藤 泰介  浜松医科大学, 医学部, 准教授 (90293638)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード円形脱毛症 / NKG2D / H60 / C3H/HeJ
研究実績の概要

本研究では様々な円形脱毛症の病期、病型における血中可溶性NKG2D ligand濃度を測定することでバイオマーカーとして利用可能かどうかを検討する。また可溶性NKG2D ligandによるNKG2D発現の制御を検討し、円形脱毛症治療への可能性を検討することである。バイオマーカーを見いだすことで治療効果の推測、予後の事前推測、難治化を検討するための指標となり得る。円形脱毛症のバイオマーカーを検討することは従来なされておらず、学術的独自性が高く、また患者の治療選択や継続の有用性を検討するにあたり、バイオマーカーを検討することは研究を患者に対して還元するにあたり極めて有用性が高いものと考えている。現在、円形脱毛症のeffector細胞として考えられているNKG2D+CD8+T細胞における活性化因子であるNKG2Dのリガンドである毛包上皮上のNKG2D ligand発現の有無は病勢を考える上で重要な分子とみられる。またNKG2D分子は円形脱毛症の病態の中心として考えられているものの、これを治療対象とする研究はなされていない。円形脱毛症はクローン病など炎症性腸疾患を含めた自己免疫疾患の合併も多いことから、円形脱毛症においてもNKG2D-リガンド系の制御による有効性が十分に期待できるところである。
本研究では、まず円形脱毛症モデルマウスであるC3H/HeJの安定的供給が大切である。
円形脱毛症を発症したC3H/HeJマウスの鼠径、腋窩リンパ節よりリンパ球を採取し、30IU/ml IL-2、IL-7 (25 ng/ml)、IL-15 (50 ng/ml)、Dynabeads T-Activator CD3/CD28とともに5日間培養後、8週齢の未発症マウスに皮内注射することで、円形脱毛症を誘導した(Wang et al. J Invest Dermatol 2015)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在、C3H/HeJマウスにおける円形脱毛症発症モデルの安定的供給が重要であるが、円形脱毛症の発症率の低下がみられており、手順の再構築が必要である。もととなる脱毛症を自然に発症しているC3H/HeJマウスが入手しづらい状態が続いている。

今後の研究の推進方策

リンパ節細胞におけるIFN-γによるNKG2D発現の誘導に対するH60の影響の検討については、H60によるNKG2D発現への影響を検討するため、脾臓やリンパ節からリンパ球を採取し、100IU/ml IFN-γで24時間培養する際に、H60との共培養の有無によるNKG2D発現の強度の違いを検討する。
活性化リンパ球誘導円形脱毛症に対する可溶性H60の発症に対する影響の検討については、活性化リンパ球を皮内注射したマウスに対して、H60を同時に腹腔内もしくは静注投与することで円形脱毛症の発症率の変化を検討する。
抗NKG2D抗体による円形脱毛症の発症抑制効果については、活性化リンパ球を皮内注射したマウスに対して、定期的に抗マウスNKG2D抗体を皮内注射もしくは腹腔投与した群とPBSを投与した比較群の間において、発症率に有意な差があるかを検討する。
抗NKG2D抗体による円形脱毛症の治療効果については、活性化リンパ球皮内投与によって発症誘導したC3H/HeJマウスに対して、抗マウスNKG2D抗体を皮内投与し、病変部の改善がみられるかを検討する。同病変部から皮膚を採取し、NKG2D陽性細胞の分布、H60発現量、IFN-γやIL-15の発現量について、免疫組織科学的、mRNAレベルでの検討を行う 。

次年度使用額が生じた理由

学会参加などがコロナ禍によって予定よりも少なかったため

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Immunological Properties of Atopic Dermatitis-Associated Alopecia Areata2021

    • 著者名/発表者名
      1.Kageyama R, Ito T, Hanai S, Morishita N, Nakazawa S, Fujiyama T, Honda T, Tokura Y
    • 雑誌名

      Int J Mol Sci

      巻: 22 ページ: 2618-2629

    • DOI

      10.3390/ijms22052618.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Understanding the significance of cytokines and chemokines in the pathogenesis of alopecia areata2020

    • 著者名/発表者名
      Ito T, Kageyama R, Nakazawa S, Honda T
    • 雑誌名

      Exp Dermatol

      巻: 29 ページ: 726-732

    • DOI

      10.1111/exd.14129.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CCR5 is a novel target for the treatment of experimental alopecia areata.2020

    • 著者名/発表者名
      Ito T, Suzuki T, Funakoshi A, Fujiyama T, Tokura Y.
    • 雑誌名

      J Cutan Immunol Allerg

      巻: 3 ページ: 24-32

    • DOI

      10.1002/cia2.12092

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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