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2021 年度 実施状況報告書

単一細胞解析での分裂期促進因子PLK1発現異常による皮膚T細胞腫瘍進展機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K08673
研究機関高知大学

研究代表者

樋口 智紀  高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 講師 (00448771)

研究分担者 橋田 裕美子  高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (00767999)
大畑 雅典  高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (50263976)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードPLK1 / ATL / 単一細胞解析
研究実績の概要

皮膚T細胞腫瘍には、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)や皮膚病変を呈する成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)も含まれる。現在、抗CCR4抗体薬やヒストン脱アセチル化酵素阻害薬はATLやCTCLなどの難治性皮膚T細胞腫瘍で治療が奏功しているが、これら腫瘍の高い治療抵抗性や予後改善に向けた早期診断など、未だ臨床上の大きな課題が残されている。治療抵抗性などの特性は腫瘍細胞集団中に存在する少数の腫瘍細胞で構成されることが考えられ、皮膚T細胞腫瘍の臨床上の問題解決には単一細胞レベルでの難治化特性の把握が重要な課題となる。
細胞分裂の制御で重要な分裂期キナーゼの1つであるPolo-like kinase 1(PLK1)の過剰発現は胃がんや乳がん、肝臓がんなど様々な悪性腫瘍で報告され、腫瘍細胞の生存・増殖の促進や放射線治療・化学療法への強い抵抗性に深く関与する。昨年度、我々はPLK1の発現解析を行った結果、ATL細胞株および悪性度がより高い患者末梢血細胞においてその過剰発現が認められ、ATLの進展とPLK1の発現異常に関連性があることが示唆された。そこで本年度は、PLK1の発現異常とATL細胞の増殖・生存への関連性を示すため、siRNAによるPLK1発現抑制系を用いた細胞増殖アッセイを行った。その結果、ATL細胞株におけるPLK1の発現低下は有意な細胞増殖抑制を示した。また、この細胞増殖抑制はATL細胞のアポトーシス誘導と細胞周期におけるG2/M期の停止が原因であることが明らかとなった。したがって、PLK1はATL細胞の増殖・生存に寄与し、ATLの新規治療標的となる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の我々の研究計画通り、ATL細胞でのPLK1の高発現が、細胞増殖および生存に深く関与することが示せた。この成果は、本年度の研究計画通りであり、概ね順調に計画が進展していると思われる。

今後の研究の推進方策

本年度は、順調に研究計画を進めることができた。したがって、次年度の研究計画に大きな支障はなく、概ね当初の研究計画に沿って進めていく。次年度はATLを中心にPLK1の新規治療標的としての可能性について検討していく。

次年度使用額が生じた理由

【次年度使用額が生じた理由】 本研究計画の実行において、主に必要となる研究経費は細胞培養や解析に使用する試薬、キットなどの消耗品費にある。しかしながら、次年度以降に予定されている実験費用は研究の進展によってその系統が変動する恐れがあるため、消耗品等の購入単価の削減や節約によって本年度の消耗品費の一部を、次年度の使用予定額として補填する必要が生じた。
【使用計画】 本年度同様、次年度もこれら消耗品費に研究費を使用する。また、次年度に必要となる機器の多くは当該研究施設にて整備されており、当該研究施設の機器で解析できない場合でも外部受託解析が可能であるため新たに購入する必要はない。しかしながら、本研究目的を達成するためにsiRNA 、real-time PCR解析に必要なTaqMan probe、ChIPアッセイに用いる抗体、次世代シーケンサー用の消耗品類など一般試薬類と比較して単価がやや高価なものが必要となる。また、次年度に持ち越される研究に必要な消耗品費は本年度未使用の助成金で補填する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Development of a novel cell line‐derived xenograft model of primary herpesvirus 8‐unrelated effusion large B‐cell lymphoma and antitumor activity of birabresib in vitro and in vivo2021

    • 著者名/発表者名
      Nishimori T, Higuchi T, Hashida Y, Ujihara T, Taniguchi A, Ogasawara F, Kitamura N, Murakami I, Kojima K, Daibata M.
    • 雑誌名

      Cancer Medicine

      巻: 10 ページ: 8976~8987

    • DOI

      10.1002/cam4.4394

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Prognostic significance of human papillomavirus 16 viral load level in patients with oropharyngeal cancer2021

    • 著者名/発表者名
      Hashida Y, Higuchi T, Matsumoto S, Iguchi M, Murakami I, Hyodo M, Daibata M.
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 112 ページ: 4404~4417

    • DOI

      10.1111/cas.15105

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Human Polyomavirus 6 Detected in Cases of Eosinophilic Pustular Folliculitis2021

    • 著者名/発表者名
      Hashida Yumiko、Higuchi Tomonori、Nakajima Saeko、Nakajima Kimiko、Ujihara Takako、Kabashima Kenji、Sano Shigetoshi、Daibata Masanori
    • 雑誌名

      The Journal of Infectious Diseases

      巻: 223 ページ: 1724~1732

    • DOI

      10.1093/infdis/jiaa607

    • 査読あり
  • [学会発表] HHV8陰性原発性滲出性リンパ腫細胞由来の異種移植モデルの樹立とその解析.2021

    • 著者名/発表者名
      西森大洋,樋口智紀,橋田裕美子,小島研介,大畑雅典
    • 学会等名
      第80回日本癌学会学術総会

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公開日: 2022-12-28  

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