研究課題/領域番号 |
20K08676
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中村 元樹 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (70645051)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メルケル細胞癌 / 免疫チェックポイント阻害薬 / グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
病理組織、血清サンプルはご協力いただいた10施設から集積した。病理組織はMCC患者71人、血清は90検体、血清は21人、53検体を集積しえた。ホルマリン固定パラフィン包埋組織から腫瘍部のmRNAを抽出し、次世代シーケンス、免疫組織化学染色、血清検査を行った。 次世代シーケンスの結果、MCCサンプルは「免疫活性型」と「細胞分裂型」の2つのタイプに分類された。「免疫活性型」は「細胞分裂型」よりも良好な予後を示した。解析の結果、「細胞分裂型」では、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)遺伝子の発現が有意に上昇していることが分かった。395の遺伝子のうち、G6PDの発現は、経過中のリンパ節転移や遠隔転移の有無と相関し、PD-L1の発現と負の相関を示した。また、G6PDの免疫組織化学的染色は、疾患特異的生存率と相関し、PD-L1の発現と比較して同一患者内での不均一性が少なかった。G6PD活性は、血中血清検査でも測定することができ、検出値は腫瘍のステージが進行するにつれて有意に増加し、治療後には有意に減少した。 以上よりG6PDは、免疫組織化学的および血清検査で検出可能な予後マーカーとして有用であり、腫瘍の免疫活性、PD-L1発現レベルと負の相関を示した。このことより、G6PDはPD-L1阻害薬を含む免疫チェックポイント阻害薬の効果予測にも有用であるかも知れない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
FFPEから抽出したRNAを用いたNGS解析により、メルケル細胞癌における有用なバイオマーカーG6PDを発見し、報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
G6PDと腫瘍免疫の関係を解き明かし、免疫チェックポイント阻害薬治療におけるG6PD活性の重要性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
18,385円の次年度使用分は、G6PD活性と腫瘍免疫の関連メカニズムを解析する研究に使用する。
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