悪性黒色腫の病態解明と診断・治療の3つの面で臨床医学への波及効果を有する。具体例を挙げると、腫瘍特異的な融合遺伝子が同定できれば免疫染色による早期の確定診断に有用である。次に、現在免疫チェックポイント療法が注目されているが、全例に奏功するわけではなく医療経済の観点からも効果予測マーカーの探索が試みられている。腫瘍細胞における遺伝子変異数が多いほど免疫療法の奏功率が高いため、融合遺伝子の有無がより鋭敏な免疫チェックポイント療法のマーカーとなる可能性がある。さらに、悪性黒色腫において融合遺伝子の阻害が特異的で侵襲や副作用の少ない全く新しい治療薬の開発へ貢献することが期待される。
|