研究課題
今回、新たに乾癬病態と関連すると報告されたSNPについて、機能解析を試みた。その中で、GWAS解析で示されたPTRF/Cavin1のSNPに注目して解析を行った。このSNPは遺伝子のintron上に存在しており、またlocusもexonに近い部分では無く、ほぼ中央部分に存在していた。この場合、単なるマーカーとして用いられることが多いが、病態との関連、遺伝子機能との関連にも興味がもたれる。そこで、ゲノム編集を用いて、in vito上でSNPの導入を行い、遺伝子機能に影響があるか否か、検討を行うこととした。今回用いたHaCaT細胞は、このSNP周辺を調べたところ、正常であることが解ったので、この細胞をコントロールとし、CRSPR/Cas9システムを用いて、SNPの導入を試みた。いくつかクローンを取得できたが、欠損変異が殆どで、目的のSNPを導入することは出来なかった。そこで欠損が少ないクローンを選抜し、PTRF遺伝子の遺伝子発現解析を行った。またこの遺伝子の上流には、乾癬病態と深く関わるSTAT3が存在する。そこでPTRF遺伝子に近いSTAT3とATP6Vについても同様に遺伝子発現解析を行った。その結果、それぞれの遺伝子発現には大きな変化は無かった。乾癬患者の皮膚を用いた遺伝子発現の検討では、健常部に比べ、皮疹の中央に行くにつれて、PTRFの発現が低下することが明らかとなった。また、組織の免疫染色の結果より表皮、真皮両方に発現していることが明らかとなった。このことから、表皮細胞、真皮細胞の増殖に何らかの影響を及ぼしていることは推測されるが、詳細は今後のさらなる検討が必要である。
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Sci Rep
巻: 14 ページ: 1-11
10.1038/s41598-023-50668-2
巻: 13 ページ: 1-11
10.1038/s41598-023-29135-5