研究課題
これまで我々のグループは水疱性類天疱瘡(Bullous pemphigoid; BP)の研究をし,研究成果を報告してきた.BPは表皮真皮境界部に存在する膜貫通蛋白BP180に対する自己抗体で発症する.近年,自己抗体が認識するエピトープの解析はすすみ,大部分の患者において自己抗体が認識するエピトープはわずか76アミノ酸からなるNC16aドメインであることが明らかとなった.本症の診断に用いられるBP180 ELISAあるいはCLEIAはそのNC16aを抗原として用いている.本症の自己抗体はIgGであり,その抗原との結合部位は,H鎖とL鎖の可変領域である.この部のアミノ酸の構成により,多種多彩の抗原が認識されるようになる.したがって,自己抗体の解析には,可変領域のアミノ酸配列が必須となるため,1)BP患者のB細胞をEBウイルスで株化後,自己抗体産生細胞を選択,産生抗体の可変領域アミノ酸配列の解析,2)患者リンパ球のB細胞受容体遺伝子の可変領域配列を次世代シークエンサーにて網羅的に取得し,B細胞クローンの種類や頻度を検討するレパトア解析,3)自己抗体可変領域のアミノ酸配列を質量分析にて直接解析の3つの異なった研究を統合的に行うことを計画した.患者からリンパ球を採取,BP180 ELISAを用いて,陽性抗体を産生するリンパ球のクローンの特定を試みた.また活動期の患者からB細胞を分離したがmRNAからcDNAを合成する過程には至らなかった.病原性があるのかを確認するため、マウスBP180がヒトBP180に置き換わった,ヒトBP180マウスへの精製抗体を投与を試みた.自己抗体産生の機序の解明は,すなわち本症の発症機構の解明につながり,新しい治療法開発への手がかりとなるので、我々は患者様の検査後の残余検体(血液)を試料とする解析を続け,症例を積み重ねたい.
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