研究課題
ヒト正常表皮には真皮と同様に、resident memory T細胞 (TRM)が存在することが明らかとなり、TRMはCD4陽性細胞とCD8陽性細胞に分類される。したがって、表皮CD4陽性TRMはHIVの初期感染標的細胞になりうる。TRMは2つのマーカー (CD69とCD103)で定義されるが、表皮CD4陽性TRMはCD69+でCD103+とCD103-の2分画に分類される。これまでの研究でCD103+分画とCD103-分画でHIV受容体発現に差異があることが明らかとなったが、HIV感染率については両分画に差異はなく両者ともHIVに感染する。次に両分画における内因性抗HIV分子の発現をflow cytometoryで検討した。APOBEC3GおよびTIRM5aは両分画で同様に高発現していた。Tetherinおよびリン酸化SAMHD1は両分画でほぼ発現が認められなかった。次に、HIVに感染させた両分画を培養し続け、両分画のHIV感染細胞の生存率をannexin V stainingを用いてflow cytometryで検討したところ、CD103-分画HIV感染CD4陽性TRMはCD103+分画HIV感染CD4陽性TRMと比較してアポトーシスに陥りにくいことが明らかとなった。これは、前者分画に感染したHIVは潜伏感染状態に入るためと仮説をたて、HIVの潜伏感染について検討を行った。HIV GKO (dual color reporter virus)を両分画に感染させ、productiveなHIV感染細胞とlatentなHIV感染細胞をflow cytometryで同定したところ、仮説のようにCD103-分画HIV感染CD4陽性TRMはD103+分画HIV感染CD4陽性TRMと比較してHIV感染後、潜伏感染状態に入る細胞が多いことが明らかとなった。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Front Immunol.
巻: 13 ページ: 962167
10.3389/fimmu.2022.962167.