研究課題/領域番号 |
20K08689
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大塚 篤司 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (60582054)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シュワン細胞 |
研究実績の概要 |
皮膚末梢神経は有髄神経と無髄神経に分類される。有髄神経は髄鞘(ミエリン)を有する軸索を持ち、シュワン細胞(myelinating Schwann:mSC)がこのミエリンを形成する。一方、無髄神経はミエリンを形成せず、非ミエリン形成シュワン細胞(non-myelinating Schwann: nmSC)が随伴細胞として存在する。中枢神経系では、髄鞘を形成する細胞はオリゴデンドロサイトである。オリゴデンドロサイトは脊髄損傷などの場面で免疫細胞を病変部に誘導する役割を担うことが既に知られている。しかしながら、末梢神経系では髄鞘を形成するシュワン細胞の働きは解明されていない。そこで我々は、多重免疫染色にて、ヒト皮膚におけるシュワン細胞を可視化した。その結果、健常皮膚の真皮深層(網状層)の神経束で、Sox10陽性の核を持ち、p75もしくはP0で細胞膜/細胞質が染色される細胞を見出した。P75陽性細胞とP0陽性細胞は相補的であり、形状からもnmSCとmSCとを区別できるマーカーであることが確認された。一方で、パラフィンブロックを用いた解析ではサンプル間比較に耐えうる定量的な評価には適さないと考えた。そこで、次にヒト皮膚を用い、whole mount stainingで検討を行うことにした。CUBICを用い、透明化して染色を行った。その結果、whole mount stainではp75陽性のシュワン細胞のネットワークを検出することが可能であった。最後に、マウス皮膚におけるシュワン細胞の皮膚炎モデルによる変化を検証することにした。ドライスキンモデルでは、表皮直下の神経叢においてc-Jun陽性のシュワン細胞がコントロールより多く存在する傾向がみられた。以上より、ドライスキンモデルではシュワン細胞が表皮直下に増生し、何らかの機能を有する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りシュワン細胞の可視化に成功した。また機能における分類を免疫染色で行なった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、遺伝子解析マウスを作成し準備を進めている。 ドライスキンモデルにおけるシュワン細胞の役割を明らかにしつつ、他の皮膚アレルギー疾患モデルマウスにおけるシュワン細胞の機能を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子改変モデルマウスの作成費用が次年度にずれ込んだため。
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