研究課題/領域番号 |
20K08689
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
大塚 篤司 近畿大学, 医学部, 教授 (60582054)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シュワン細胞 |
研究実績の概要 |
皮膚アレルギー疾患病態形成における末梢神経の関与が注目されている。皮膚末梢神経は神経軸索とその支持細胞であるシュワン細胞からなるが、これまでの研究は神経軸索にシュワン細胞が混在した状態での評価であった。シュワン細胞がケモカイン等を産生することを申請者はすでに見出しており、神経軸索とシュワン細胞を区別しその機能を解析することが重要である。 シュワン細胞特異的光刺激マウスを作成し基礎的な解析を行った。光刺激により皮膚毛細血管の拡張が見られ、また痒みが軽度誘発されることを確認した。このマウスを用いて、接触皮膚炎モデルでの解析を行う予定である。また、シングルセルRNAシークエンスの技術を用いて、表皮間近に存在するシュワン細胞の解析を行った。その結果、シュワン細胞はいくつかのサブセットが存在することが明らかとなった。 また、シュワン細胞の影響を除外した末梢神経の皮膚アレルギー疾患における役割の検討を行った。黄色ブドウ球菌による皮膚炎モデルの解析にて、好塩基球が多数皮膚に浸潤してくることを明らかとした。この系において、末梢神経及びシュワン細胞が重要な役割を担うことをRTX処置にて明らかとした。さらに、DRGよりシュワン細胞と神経軸索を分離しin vitroで検証した結果、ともにいくつかのケモカインを賛成することを見出した。これらの研究成果は、末梢神経だけでなくシュワン細胞が皮膚アレルギー疾患において病態に関与することを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の解析に必要なシュワン細胞特異的光刺激マウスの作成は終了し、すでにいくつかの皮膚アレルギー疾患モデルで解析を進めている。また、シングルセルRNAシークセンスを用いた解析にて、シュワン細胞の新しいサブセットを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
現在作成中のシュワン細胞特異的ノックアウトマウスを完成させ、皮膚アレルギー疾患での解析を継続する。また、DRGより分離したシュワン細胞の培養は既に樹立済みである。このシュワン細胞にTLR2刺激の有無でRNAシークエンスを行い、変動するサイトカインおよびケモカインを網羅的に解析する。更にリン酸化抗体アレイを用いてシュワン細胞にてケモカイン産生の軸となるシグナルの同定を行う。1280種類の化合物ライブラリー(TOCRISCREEN)よりケモカインの産生抑制およびリン酸化を阻害する化合物を同定する。MC903にて誘導したアトピー性皮膚炎モデルに同定した化合物を含むクリームを外用し、抗炎症効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ノックアウトマウスの解析に関して、今年度行う予定であったものが来年に変更となったため。
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