研究課題/領域番号 |
20K08691
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
村上 正基 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (20278302)
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研究分担者 |
八束 和樹 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (30844766)
川上 良介 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (40508818)
森 秀樹 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (60325389)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 掌蹠膿疱症 / エクリン汗腺 / 3次元イメージング / エクリン汗腺モデル / 蛍光顕微観察 |
研究実績の概要 |
本研究目的は二つの柱からなる。①二光子励起顕微鏡を用いた掌蹠膿疱症水疱環境におけるバイオイメージングを行い、三次元的に病変環境の観察と発生病態に関与する物質を網羅的に検索する。②三次元ヒト由来エクリン汗腺細胞培養を用いた汗管閉塞(障害)現象の誘導の試み(実験モデルによる初期水疱形成環境再現の試み) ①:掌蹠膿疱症の発症環境である皮膚表皮内の構造物(エクリン汗管、表皮内水疱、表皮内膿疱など)を通常のHE染色病理組織で観察しても、水平方向の情報を得ることは難しく、まして3Dでそれぞれの関係について観察することは困難であったが、新規蛍光色素・透明化試薬を組み合わせた二光子顕微鏡観察法によって、3DおよびDeep imagingを行うことに成功した(Acta Histochem Cytochem 2020)。この方法を用いて、世界で初めて掌蹠膿疱症水疱の三次元観察に成功し、あらためて水疱・膿疱とエクリン汗腺の関連性が確認された(J Dermatol Res 2021)。 ②:三次元ヒト由来エクリン汗腺細胞(独立・混合)培養系(モデル)を樹立し、①で得られた結果の再現を試みている。検討を進めていたところ、既報培養系の追試・再現は非常に困難であることが明らかとなってきたため、現在これに代わる新規培養系樹立のために基礎検討を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の課題で最も重要であった、二光子励起顕微鏡を用いた掌蹠膿疱症水疱環境の3Dイメージングに成功した(J Dermatol Res 2021)。掌蹠膿疱症の初期水疱は極めて小さく、通常のHE染色を用いた病理組織学的検索方法では、水平断面の情報を得ることができず、難易度の高い連続切片による観察方法では、十分に水疱・周囲角化細胞・エクリン汗腺の関連性を観察することは難しかったが、我々が開発した新規蛍光色素を用いた3DおよびDeep imaging方法(Acta Histochem Cytochem 2020)により、掌蹠膿疱症の水疱を立体的に観察することができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に予定していた掌蹠膿疱症水疱周囲組織を用いたトランスクリプトーム解析、三次元ヒト由来エクリン汗腺細胞(独立・混合)培養系(モデル)の樹立は引き続き行う。既報培養系を追試し再現を試みてきたが、予想に反して非常に困難であることが明らかとなってきた。そこで現在、これに代わる新規培養系樹立のために基礎検討を開始している。実験モデルが作成できしだい、三次元ヒト由来エクリン汗腺細胞モデル対する掌蹠膿疱症の病態関連物質の刺激実験を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため国際学会への出張ができず、旅費300000が支出されなかったことと、本年度に予定していた3次元培養エクリン汗腺実験モデルの作成が難航し、予定していた実験がすべて進まなかったことなどがあげられる。前年度予定されていた実験及び現在追加で検討を始めた代替実験に充当する予定である。
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