アリル炭化水素受容体アゴニストによるアトピー性皮膚炎新規治療薬開発と標的探索のために、今年度は現在臨床試験中であるタピナロフがアリル炭化水素受容体結合後に、どのようなシグナル経路を刺激して、表皮細胞に影響を与えるのかを検討した。まずタピナロフがアリル炭化水素受容体を刺激しフィラグリンやロリクリンなどのバリア関連蛋白群の発現を増加させることを確認した。同時にタピナロフはアリル炭化水素受容体を介してインターロイキン24産生を誘導し、インターロイキン24はフィラグリンやロリクリンなどのバリア関連蛋白群の発現を低下させるシグナルも発生させていることも明らかにした。インターロイキン24による負のシグナルは、JAK阻害剤を併用することで、キャンセルしうることを確認できた。このことから、今後の標的物質探索には、標的物質によるバリア関連蛋白群の発現の評価とインターロイキン24産生能の評価を組み合わせてスクリーニングすることが重要はないかと考えた。
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