研究課題/領域番号 |
20K08694
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
猪又 直子 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (20347313)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アニサキス / アレルゲン / 低アレルゲン化 / アレルギー |
研究実績の概要 |
アニサキスアレルギーの過去5年間の実態の把握および臨床的特徴の解析を行った。2015年7月1日から2020年6月30日までの5年間に横浜市立大学附属病院を受診し、アニサキスアレルギーを疑われ検査を実施した症例を対象とした。アニサキスアレルギーの血液検査を施行した件数は、2015年度72件、2016年度68件、2017年度73件、2018年度73件、2019年度56件で、年間約60~70件で推移し、過去5年間に検査件数の大きな変動はなかった。アニサキス特異的IgE抗体測定(ImmunoCAP、Thermofischer scientific)の結果、クラス6を示した症例は8例、クラス5は5例、クラス4は14例であった。最重症のクラス6を示した8例の男女比は5:3と男性に多く、年齢は18~87歳(平均58歳)で1例を除き40歳以上であった。臨床的特徴として、魚類やイカの刺身摂取後の蕁麻疹、血管性浮腫などの皮膚症状が多く、1例は消化器症状のみであった。7例はアナフィラキシーに進展し、うち3例は意識障害などショック症状を伴っていた。胃痛、腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状が主症状で消化器内科や外科で胃・小腸アニサキス症の診断(疑いを含め)を受けた例が3例含まれていた。原因食品摂取から症状出現までの時間は2~6時間、特に2~3時間が多く一般的なI型アレルギーより遅いことがわかった。魚の種類はサバ、イワシ、カツオ、サンマなどであった。 アレルゲン解析については、アニサキスの採取法の検討や抗原抽出液の作成を試みた。サバ、アジ、イワシなどの魚類を購入し、ブラックライト照射下にピンセットでアニサキスを採取した。アニサキス虫体の形態を顕微鏡で確認し、保管期間による生存状況の推移を観察した。今後、アニサキス虫体と複数の溶媒を用いて抗原液の抽出を試み、実験に用いる抗原抽出法を選定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言などにより、研究活動の一時停止が指示されことや、研究試薬の入手が大幅に遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
アニサキスアレルギーの臨床的特徴とアレルゲン解析の両方を併行して進める予定である。 アニサキスアレルゲン解析を進める上で必要な研究試薬の調達が遅れ、in vitro実験に支障がでる場合は、臨床的な特徴の解析に比重を置く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言により、研究試薬の調達が大幅に遅れたため。
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