研究課題
乾癬は皮膚の紅斑・表皮の肥厚・隣屑を特徴とする慢性炎症疾患で、その病態にはIL-17/IL-23サイトカインネットワークが重要である。近年、マウス皮膚へのイミキモド連日塗布によって、乾癬様皮膚炎を誘導できることが判明し、乾癬モデルマウスとして広く使用されている。最近ヒトで、乾癬に特徴的なresident memory T cell (TRM)が治療後の寛解時においてもIL-17A産生能を持ったまま病変部の表皮に残存していることが報告され、皮疹の再燃に関与していると考えられる。今回我々は、乾癬モデルマウスの表皮においても同じ特徴を持ったTRMを確認することに成功し、その細胞の病態への関与について検討した。剃毛したマウスの背中にイミキモドクリームを6日間連続塗布して乾癬様皮膚炎を誘導し、イミキモドクリーム塗布終了日から4週間後の皮膚を採取して、表皮にTRMが存在しているかどうかフローサイトメトリーを用いて解析した。イミキモドクリーム塗布終了から4週間後のマウスでは、臨床的に対照群と差は無かった(皮疹は中断後自然軽快)。しかしながら、IMQ群の表皮においてTRM(CD8+CD69+CD103+)の存在が確認でき、そのほとんどがCD49a-を示していた。今回我々が表皮で確認したTRMは、最近乾癬患者で報告された細胞の特徴と一致していた。また、表皮細胞との共培養により、活性化される傾向も認められた。T細胞の刺激により、サイトカインの産生促進も認められ、乾癬の増悪に関与する可能性も示唆される検討結果であった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
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