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2021 年度 実施状況報告書

細胞外セラミド受容体によるカスパーゼ14発現上昇を介した皮膚保湿能向上機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K08697
研究機関東京電機大学

研究代表者

長原 礼宗  東京電機大学, 理工学部, 教授 (80385484)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードCD300b / 細胞外セラミド / カスパーゼ14 / 皮膚保湿
研究実績の概要

本申請課題では、「細胞外セラミド受容体によるカスパーゼ14発現上昇を介した皮膚保湿能向上機構の解明」と題して、皮膚細胞における、セラミドによる新しい細胞シグナル伝達機構を明らかにすることを目指している。まず、皮膚細胞に対してカスパーゼ14を発現誘導させる細胞外セラミド構造を特定し、ついで細胞外セラミドが結合する受容体を特定し、最終的には細胞外セラミド受容体によるカスパーゼ14発現上昇作用機構を解明することが目標である。
本年度は、細胞外セラミド受容体が関与した、細胞外セラミド添加に伴うカスパーゼ14発現増強機構を解明すべく、細胞内でのシグナル伝達機構を検討するとともに、細胞外セラミド受容体のノックアウト細胞の作製を行った。角化細胞のモデルとして、ヒト角化細胞株HaCaTを用いた。細胞外に分泌されて存在するセラミドとしては昨年度、カスパーゼ14を発現誘導させることを明らかにしたC22セラミドを用いた。
HaCaTにC22セラミドを作用させたところ、細胞外セラミド受容体のうち、昨年度発現を明らかにしたCD300受容体ファミリーの一つ、CD300bのタンパク質発現が顕著に増加した。この結果、C22セラミドはCD300bの発現を増加させることで、下流のシグナルを増強させることが示唆された。そこで、CD300bの下流細胞シグナル伝達経路についてウェスタンブロット法で検討したところ、Syk, Aktのリン酸化によるカスパーゼ14の発現増加が示唆されることが明らかになった。そこで現在CD300bをCRISPR/Cas9システムでノックアウトし、C22セラミドによるカスパーゼ14の発現量を検証している。
以上、本年度の重要な研究成果は、細胞外セラミドであるC22セラミドはCD300bを発現増加させて下流のSyk, Aktシグナル経路を増強していることを明らかにしたことである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究はコロナ禍の状況下でもほぼ計画通りに進んでおり、本年度は、細胞外セラミドであるC22セラミドはCD300bを発現増加させ、下流のシグナル経路を増強していることを明らかにできたため、おおむね順調に進展していると判断した。詳細は以下の通りである。
まず、細胞外セラミドの影響を明らかにすべく、CD300bのノックアウト細胞の作出に取り組んだ。CRISPR/Cas9法を用い、Cas9-EGFPベクターとCD300b標的gRNAベクターを構築してエレクトロポレーション法によるHaCaT細胞への導入条件を、EGFP蛍光を指標としてセルソーターを用いて検証した。現在までのところ、最適なエレクトロポレーション条件を見出し、EGFP蛍光を有した細胞をソートしてセレクション中である。
また、C22セラミドによる細胞内シグナル伝達経路として、Syk、Aktといったリン酸化酵素のリン酸化が増加した。Syk阻害剤の共添加により、SykやAktのリン酸化が抑制されることから、C22セラミドはCD300bを発現増加させることで、Syk、ついでAktのシグナルを増強していることが明らかになった。

今後の研究の推進方策

本年度の目標のうち、CD300bノックアウト細胞の作製は途上であるため、まずはCD300bをノックアウトした細胞を完成させて、そこに細胞外セラミドであるC22セラミドをノックアウト細胞に作用させ、カスパーゼ14が発現増強するかどうかを検証する。結果として、C22セラミドによる細胞外からのシグナル伝達に、CD300bが直接関与するのかどうかを明らかにすることが可能になる。また、CD300b下流のシグナル伝達経路を検討することで、in vitroでのC22セラミドの皮膚細胞への影響を明らかにしていきたい。
その後、C22セラミドをマウス皮膚に塗布することで、実際に皮膚保湿能が向上するかどうか、経皮水分蒸散量変化を測定することで検証したい。

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公開日: 2022-12-28  

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