研究課題
フォン・ウィルブランド因子 (VWF)のヘパリン結合ドメインは成長因子(Growth factor: GF)に結合し、創傷治癒において血管新生を促進する。近年、GFの結合による治癒において血漿および内皮細胞から放出されるVWFがヘパリンへの結合様式のもと血管外マトリックスへ結合することにより、血管新生を調節することが示されている。そのため、止血以外のVWFの重要な機能である可能性がある。本研究ではVWFのヘパリン結合部位のVWFの血管新生機能における重要性を検討、続いて当グループが新たに同定した「血管新生抑制型VEGF-Aアイソフォーム(VEGF-A165b)」がどのような影響を持つのかを検討する。ECFCの作製同意を得て分離したVWD type 1、type 2A、type 3 各typeの患者単核球からBOECs(以後ECFCと改称)を樹立した。対象例:・健常・type2A(GroupⅠ): L1503R・type3(Null): E2341X+Y2631X単核球はVEGF存在下で培養後典型的なcobblestone形態をとるので、PhenotypeをCD31, CD309等の発現にてフローサイトメトリーにて確認、上清中にVEGF-A165-VWF複合体またはVEGF-A165b-VWF複合体が存在するかを免疫沈降と抗ヒトVWF抗体によるWestern blottingにて確認した。患者血漿についても同様に検討してある。ECFCについてはポリクローナルELISA (DAKO A0082とP226を使用)にて、VWFの細胞学的な発現様式をconfocal immunofluorescenceにて観察中である。これと同時にWeibel-Palade小体に局在するVWF、VEGF-A165、VEGF-A165bの共在につき、抗P-selectin, IL-8, CD63抗体とあわせて検討する。観察を行った細胞はLysateを調整し、Western blottingにてVEGF-A165、165b、VWFのプロセシングを確認、初期実験ではLysateにてVWF:Agが確認された。
3: やや遅れている
PAD患者のVWF血中濃度については順調に進行しているが、VEGF-A165およびVEGF-A165b のヘパリン結合能については、精製VEGF-A165およびVEGF-A165b蛋白の調達にやや遅れが生じている。
野生マウス/VWFノックアウトマウスを用いた以下の検討は今回のプロジェクトのポイントであり、今年度は早期にマウス個体数を増加させる。すなわちHBDのアミノ酸をピンポイントで同定する目的でVWFノックアウトマウスに対してhydrodynamic injectionによりヘパリン結合を欠くmutant VWFを発現させる。マウスにwild typeまたはmutant VWF cDNAをコードする発現ベクターpsvVWF1 (Matsushita, T., et al., J Biol Chem, 2000)をhydrodynamic injectionによりマウス肝において強制発現する。PBSに希釈したPlasmid DNA (50mg)溶液はマウス体重の10%となるよう調整する。プラスミドはマウス尾静脈より7秒以内に急速静注することにより肝に一過性に発現される。採血によりヒトVWF蛋白が発現されたことをSandwich ELISAで確認し、検討に用いる。
研究の遅れのため当初購入予定であった「6-WELL HANGING CELL CULTURE INSERT, 品番MCEP06H48, ¥25,486」が年度内に納期が間に合わなかったため購入できなかった。よって次年度使用額が生じた。次年度同品を購入する予定である。
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