研究課題
von Willebrand因子 (VWF)のヘパリン結合ドメインは成長因子(Growth factor: GF)に結合し、創傷治癒において血管新生を促進する。近年、VWFがヘパリンとの同じ結合様式で血管外マトリックスへ結合することにより、血管新生を調節することが示されており、止血以外のVWFの新たな重要な機能である可能性がある。本研究では同意を得て分離したVWD type 1、type 2A、type 3 各typeの患者単核球からBOECs(以後ECFCと呼称)を樹立した。今年度は昨年度に引き続き血管内皮細胞におけるVWFの発現の有無が血管新生能に関与する可能性につきvon Willebrand病 (VWD)type 3(完全欠損型)症例由来ECFC(endothelial colony-forming cells)により検討した。Type 3 由来ECFCにヒトVWF血漿中同濃度 (10ug/mL) に相当する精製VWFを添加したが管腔形成能に大きな変化はなく、内皮細胞内のVWFの存在が重要であることが示唆された。さらに血管新生の評価を行うため、細胞遊走能(Scratch assay)、管腔形成能(Matrigel assay)を健常人由来ECFCやヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVEC)と比較した。Matrigel assayでは対照群に比して、Type3 VWD患者由来ECFCでは管腔形成能は全体的に低下していることが判明したが、管腔径や分岐の数は対照群よりも増加傾向にある場合があり、管腔形成過程の不均衡を生じていると考えられた。一方Scratch assayによる遊走能には大きな差は認めなかった。Type3 VWD患者の血管新生では管腔形成過程に生じる不均衡が血管ネットワークの形成に異常を生じ、血管異形成として表現されている可能性が示唆された。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)
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