研究課題/領域番号 |
20K08718
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
田村 志宣 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (10364085)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 原発性免疫不全症 / 炎症性腸疾患 / DNAリガーゼⅣ / 遺伝子再構成障害 / LIG4症候群 / Th1細胞 / 非相同末端結合 |
研究成果の概要 |
非相同末端結合(NHEJ)は、V(D)J組換えやDNA切断修復など遺伝子再構成に重要である。NHEJ異常は、獲得免疫不全に加え、残存するリンパ球は異常に活性化して炎症を引き起こす。我々は、NHEJ機能分子DNAリガーゼIV(Lig4)遺伝子にミスセンス変異p.W447Cを持つマウスを作製した。Lig4W447Cホモ変異マウスは、DNA損傷修障害や獲得免疫不全を示した。さらに、Th細胞やマクロファージの浸潤を特徴とする致死的な腸炎を発症した。病変部ではTh1関連遺伝子の発現が上昇し、炎症はリンパ球に依存していた。Lig4変異による遺伝子再構成障害は、獲得免疫不全下でTh1型腸炎を引き起こす。
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自由記述の分野 |
血液内科学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、申請者が自験例に見出した遺伝子変異を持つマウスを作製・解析した。そのLig4低形成性変異マウス(Lig4W447Cホモ変異マウス)では、これまで当該機能分子の変異マウスでは認められなかった表現型、すなわち、獲得免疫不全下で獲得免疫の活性化を伴った潰瘍性大腸炎様の病態が発症することを新たに見出した。潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患では、免疫抑制剤やTNFα阻害剤などの生物学的製剤が広く使用されているが、治療に難渋する症例が多く、治療法は未だ確立していない。本研究により、原発性免疫不全症に加えて、難治性炎症性腸疾患の病態の解明、新たな制御手段に結び付く成果が期待される。
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