筑波大学附属病院(以下当院)血液内科診療データベースより、当院にて診断目的にリンパ節生検が行われ、かつ、病理組織診断がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(Diffuse large B-cell lymphoma: DLBCL)と診断のついた症例を収集した。2015年5月から2020年12月までに診断された約200例のうち、新鮮検体より抽出したDNAが利用可能な症例は約80例であった。これらの症例の残余DNAは再利用可能な状態で当院検査部遺伝子検査室に保存されていることを確認した。それぞれの症例についてリンパ節生検での組織型、化学療法の有無、化学療法への反応性、生命予後などの臨床情報を収集した。また、病理組織診断目的に保存されているFFPE標本からのゲノムDNAを抽出する方法を確立した。検体固定からDNA抽出まで2年以上経過したFFPE標本から抽出したDNAの品質を確認すると、DNAの品質を示すDNA integrity number (DIN)は2以下であることも多く、シーケンスには適さないことがわかった。シーケンスライブラリの作製のため、標的遺伝子ごとにプライマーを設計し、コントロールDNAにてそのプライマーがワークすることを確認した。並行してパイロットサンプル、データにおいてはfastqファイルを材料として東京大学医科学研究所宮野悟研究室にて開発されたGenomon pipelineを用い、適切に運用できることを確認できた。
|