研究実績の概要 |
免疫チェックポイント分子CD155/CD112はNatural Killer (NK)細胞やT細胞などの免疫担当細胞に発現するTIGIT (T-cell immunoglobulin and ITIM domain)と結合して機能を抑制する。一方、DNAM-1 (DNAX-associated molecule 1) はCD155/CD112との結合を介して、これらの細胞を活性化する。The Cancer Genome Atlas (TCGA)プログラムを用いて、Ley TJ, Miller C, Ding L, et al. Genomic and epigenomic landscapes of adult de novo acute myeloid leukemia. N Engl J Med. 2013;368(22):2059-2074で報告されたAML200症例の白血病細胞におけるCD155/CD112発現の意義を解析した。その結果、CD112高発現ではOverall survivalが有意に短縮していた。さらに、DNAM-1を高発現あるいはTIGITを欠失させたNK-92細胞は白血病細胞株に対してコントロールNK細胞と比較して細胞傷害活性が高かった。特に、DNAM-1高発現NK-92細胞はGene set enrichment analysis (GSEA) においてIFNγ反応, TNFαシグナルなどの細胞傷害活性に関する遺伝子発現の亢進を認め、TIGIT欠失NK細胞よりも高い細胞傷害活性を認めた。CD155/CD112を欠失した白血病細胞株では、このようは細胞傷害活性の増強はなくリガンド依存性が確認された。ヒト白血病マウスモデルでもDNAM-1高発現によるNK細胞の抗白血病効果が確認された。
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