研究課題
本研究では、先行基盤研究Cで実施した「新世代治療導入後の未治療節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKL)における治療実態把握と予後予測モデル構築とを目的とした国内および東アジア多施設共同後方視的調査研究(NKEA)」Part A (Yamaguchi M, et al. J Clin Oncol 2017)で構築したデータベースに含まれる各種data setを利活用する国際共同研究により、新世代治療下の予後不良因子の同定と予後予測モデルの構築を目指している。令和2年度では、取り組み1「NKEA Part A data set (2000-2013年診断、観察期間中央値7.9年)を用いた国際共同研究による新世代治療の国際比較と予後不良因子の同定」に関して、令和元年度から進行中の中枢神経系再発リスク予測モデルに関する韓国との共同研究 (NKEA Part C)の追加解析を行い、Blood誌へ成果公表を行った。次いで、取り組み2「2014-2018年に診断された国内患者のデータベース構築、およびそれを用いた解析による病態・治療選択・予後の解明を目指す次期研究 (NKEA-Next)」について、NKEAに引き続き、放射線治療に関しては日本放射線腫瘍学研究機構 (JROSG) 悪性リンパ腫・血液腫瘍委員会との共同研究体制で研究計画書を作成した。予定では令和2年11月にNKEA施設のほか広く国内参加施設を募る予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大により研究者および参加施設で診療エフォートが増大し、また令和3年度の新倫理指針の改定により大幅な計画書変更が予想されたことから、協議の結果、募集開始を令和3年4月以降へ延期することとした。
3: やや遅れている
韓国との共同研究 (NKEA Part C)の結果がBlood誌に報告されたことは一定の成果と考えられる。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などから、次期調査研究 (NKEA-Next)の開始が先送りとなっており、全体として約半年間の遅れがあると認識している。
次期調査研究NKEA-Nextは当初対象を2014-2018年診断例としていたが、2020年診断例までを含めるようにした。ENKL治療における新型コロナウイルス感染症拡大の影響はこれまで報告がなく実態が不明であるため、これについても調査項目に加えることで、研究の付加価値を高める。最終的に計画書案を新倫理指針に沿った形とすることで、研究のスピードアップを図る。令和3年度の早い時期に参加施設募集を行い、IRB承認後に調査を開始する。国内および海外研究者との打ち合わせは可能な限りオンライン会議で行い、情報の迅速な共有を行う。
(理由):新型コロナウイルス感染症の拡大により国内外の学会がオンライン開催となり、旅費が不要となったため。(使用計画):次年度に行う調査研究に使用する予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 備考 (1件)
Blood
巻: 136 ページ: 2548~2556
10.1182/blood.2020005026
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