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2021 年度 実施状況報告書

HLAの異常に基づく成人T細胞白血病リンパ腫の個別化免疫療法を目指した基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K08737
研究機関琉球大学

研究代表者

森島 聡子  琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40463195)

研究分担者 益崎 裕章  琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00291899)
椎名 隆  東海大学, 医学部, 教授 (00317744)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード成人T細胞白血病リンパ腫 / HLA / 個別化免疫療法
研究実績の概要

成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)は、多剤併用化学療法のみでの治癒は望めず、同種造血幹細胞移植が治癒を目指せる唯一の治療法と考えられているが、移植後早期の再発例も多く、治療成績は決して満足できるものではない。
本研究では、ATLL細胞に生じているHLA遺伝子異常の全体像を明らかにし、同種造血幹細胞移植を含む免疫療法の効果との関連を検討する。個々の患者の腫瘍細胞でのHLA遺伝子異常に基づき、HLA拘束性T細胞による免疫効果で層別化し、最も有効な治療を選択する個別化免疫療法の可能性を探ることを目的としている。
ATLLの末梢血より腫瘍細胞と非腫瘍細胞の各分画からDNAを抽出し、long-range PCR法を用いて次世代シーケンサーによるHLA-A, -B, -C, -DRB1, -DQA1, -DQB1, -DPA1, -DPB1遺伝子全領域の解析を行った。その結果、急性型ATLでは高率にHLA遺伝子のloss of heterozygosity (LOH)もしくは非同義置換・挿入/欠失などタンパク質の構造に影響を及ぼす変異の存在を認めた。フローサイトメトリー法でHLA class I分子の細胞表面上の発現を検討したところ、HLA class I遺伝子異常を生じている症例では生じていない症例よりも発現が有意に低下していた。一方、HLA class IIの細胞表面の発現はATL細胞で正常CD4T細胞より亢進していたが、非同義置換・挿入/欠失などの異常を認めない症例でも発現亢進を認めない症例もあり、HLA class Iとは異なる機序で発現が低下している可能性が示唆された。HLA class I遺伝子の異常については、英文論文として発表した。今後HLA解析結果と同種移植後の反応性など臨床情報との関連性を検討していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ATLに生じるHLA遺伝子異常を詳細に解析し、HLA class I遺伝子異常が高頻度に起きること、HLA class I遺伝子異常が生じた症例では細胞表面上でのHLA class I分子の発現が低下していることを明らかにすることができ、英文論文として発表した。

今後の研究の推進方策

今後さらに多数例でのHLAの遺伝子異常及びRNAの発現解析を実施し、同種移植やモガムリズマブに対する反応性など臨床情報との関連性を検討し、HLA遺伝子情報のバイオマーカーとしての有用性を検討する。

次年度使用額が生じた理由

目標症例数の解析ができず、次年度に解析を持ち越すことになったため。費用は主に試薬購入に用いる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Full-length HLA sequencing in adult T cell leukemia-lymphoma uncovers multiple gene alterations.2021

    • 著者名/発表者名
      Tamaki K, Morishima S, Suzuki S, Shigenari A, Nomura I, Yokota Y, Morichika K, Nishi Y, Nakachi S, Okamoto S, Fukushima T, Shiina T, Masuzaki H.
    • 雑誌名

      Leukemia

      巻: 35 ページ: 2998-3001

    • DOI

      10.1038/s41375-021-01403-1.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 遺伝子全領域の解析により明らかとなったATLに生じる多彩なHLA遺伝子異常2021

    • 著者名/発表者名
      森島聡子、玉城啓太、鈴木進悟、重成敦子、野村育美、横田雄太郎、森近一穂、西由希子、仲地佐和子、岡本士毅、福島卓也、椎名隆、益崎裕章
    • 学会等名
      第7回日本HTLV-1学会学術集会
  • [学会発表] A NGS-based high resolution typing elucidates novel perspectives on the HLA gene mutations in ATL.2021

    • 著者名/発表者名
      Tamaki K, Morishima S, Suzuki S, Shigenari A, Nomura I, Yokota Y, Morichika K, Nishi Y, Nakachi S, Okamoto S, Fukushima T, Shiina T, Masuzaki H.
    • 学会等名
      第83回日本血液学会学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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