研究課題/領域番号 |
20K08739
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
楠本 茂 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (90423855)
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研究分担者 |
田中 靖人 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90336694)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | HBV再活性化 / 高感度HBコア関連抗原 |
研究実績の概要 |
HBV DNAモニタリングに基づいた、核酸アナログを用いた先制治療により、HBV既往感染歴を有するハイリスク造血器腫瘍患者において、HBV再活性化関連肝障害は予防できることが明らかになったが、HBV再活性化後の核酸アナログ中止に関するエビデンスは限られている。名古屋市立大学病院で経験した、既往感染からHBV再活性化した造血器腫瘍22例の保存検体を用いて、高感度HBコア関連抗原検査(iTACT-HBcrAg)の臨床的意義についてレトロスペクティブに検討した。iTACT-HBcrAgのカットオフ値は2.0 log U/mLと設定した。評価可能症例20例中17例(85%)において、HBV再活性化した時点でiTACT-HBcrAgは検出感度以上であり、HBV再活性化後のフォローアップ検体では22例中21例(95%)で検出感度以上であった。重要な点として、再活性化後にHBV DNAが検出感度未満になるまでの期間中央値が34日だったのに対し、iTACT-HBcrAgが検出感度未満になるまでの期間中央値は166日であった。HBV再活性化後にエンテカビル中止後に、再度HBV DNAが上昇してきたのは、iTACT-HBcrAgが検出感度未満になった6例中1例だけであった。 すなわち、iTACT-HBcrAgはHBV 再活性化後に核酸アナログを安全に中止できるサロゲートマーカーになる可能性が示唆された。 本結果は、JDDW2020(2020年11月6日、神戸)のInternatinal Session (Panel Discussion)において口演発表した(Hagiwara S, Kusumoto S, Tanaka Y.)。 今後、HBV再活性化症例数を追加するとともに、HBs抗原およびHBs抗体の追加測定を実施し、HBV再活性化後の核酸アナログ中止基準を提案する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
保存検体を用いた高感度HBコア関連抗原測定の結果がイメージ通りであった。
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今後の研究の推進方策 |
HBV再活性化症例数を増やすとともに、HBs抗原およびHBs抗体の推移についても追加検討する予定である。 最終的には、HBV既往感染を有するHBV再活性化症例における、核酸アナログの中止基準に資するエビデンスを構築したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
検体数が比較的少なかったため、追加検体評価を次年度に実施する予定である。
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