研究課題/領域番号 |
20K08746
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
進藤 基博 旭川医科大学, 医学部, 講師 (10396377)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 多発性骨髄腫 |
研究実績の概要 |
多発性骨髄腫は、高齢者に好発し骨髄を増殖の主座とする易再発性・難治性の形質細胞性腫瘍である。病変は骨髄のみならず、骨破壊によって引き起こされた病的骨折や、血液透析を要する腎不全などを引き起こす場合があり、QOL(qualitiy of life)を著しく損なう根治困難な疾患である。多発性骨髄腫の治療薬としては、複数の新規薬剤が登場しているものの未だ十分な生命予後を得ているとは言えず、より効果的な治療法の開発や、腫瘍の増悪をより早期に検出することが、予後の改善に繋がると考えられる。 Circulating cell-free DNA(cfDNA)は細胞外遊離DNA断片であり、担癌患者では、がん細胞に由来するDNA(circulating tumor DNA)を含む。近年、このcfDNAを用い腫瘍性疾患の診断や治療への応用が検討されている。多発性骨髄腫においても、cfDNAと末梢血あるいは骨髄由来細胞を同時に遺伝子解析した結果、骨髄中で認められた変異の約99%がcfDNAで検出され、一部はcfDNAでしか検出されない変異も認められている。こうした報告からcfDNAを用いた解析が骨髄穿刺検査に代わる新たな検査法となりうる可能性がある。多発性骨髄腫及びMGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)、形質細胞腫の分子変異プロファイルを明らかにすることを目的とし、より侵襲の少ない方法として、末梢血から上記分子変異プロファイルを明らかにできる手法を確立するため、研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
SARS-CoV-2ウイルスによる新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、当大学内の新規研究開始が制限されたことによる。そのため、進行は遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
研究を多発性骨髄腫およびその類縁疾患の低侵襲分子診断に絞り、限られた時間内で施行可能な実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症流行の影響を受け、研究の進行に遅延が生じたために次年度使用額が生じた。 2021年度は実験計画に則り、各種検査試薬、検査用備品などの購入を予定している。
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