研究課題
多発性骨髄腫は、高齢者に好発し骨髄を増殖の主座とする易再発性・難治性の形質細胞性腫瘍である。病変は骨髄のみならず、骨破壊によって引き起こされた病的骨折や、血液透析を要する腎不全などを引き起こす場合があり、QOL(qualitiy of life)を著しく損なう根治困難な疾患である。多発性骨髄腫の治療薬としては、複数の新規薬剤が登場しているものの未だ十分な生命予後を得ているとは言えず、より効果的な治療法の開発や、腫瘍の増悪をより早期に検出することが、予後の改善に繋がると考えられる。Circulating cell-free DNA(cfDNA)は細胞外遊離DNA断片であり、担癌患者では、がん細胞に由来するDNA(circulating tumor DNA)を含む。近年、このcfDNAを用い腫瘍性疾患の診断や治療への応用が検討されている。多発性骨髄腫においても、cfDNAと末梢血あるいは骨髄由来細胞を同時に遺伝子解析した結果、骨髄中で認められた変異の約99%がcfDNAで検出され、一部はcfDNAでしか検出されない変異も認められている。こうした報告からcfDNAを用いた解析が骨髄穿刺検査に代わり、より侵襲の少ない新たな検査法となりうる可能性があり、その手法を確立するため研究を進めた。KRAS変異を有する多発性骨髄腫症例で、血漿由来のcfDNAを用いた経時的解析が多発性骨髄腫の治療評価に有用であることを見出した。本課題研究で得られた成果を基礎とし引き続き研究を進展させる予定である。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Brain Res.
巻: 1809 ページ: 148371
10.1016/j.brainres.2023.148371.
J Physiol Biochem.
巻: - ページ: -
10.1007/s13105-023-00962-4.
BMC Cancer.
巻: 22 ページ: 944
10.1186/s12885-022-10008-5.
Medicine (Baltimore).
巻: 101 ページ: e29055
10.1097/MD.0000000000029055.