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2022 年度 実績報告書

移植急性期のB細胞恒常性異常に基づく慢性GVHD発症予測と先制的治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K08753
研究機関岡山大学

研究代表者

松岡 賢市  岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (90432640)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード同種造血細胞移植 / 慢性移植片対宿主病 / 移植後シクロフォスファミド
研究実績の概要

慢性GVHDの病態基盤としてのB細胞恒常性異常の機序とこれへの治療的介入については十分な検討がなされていない。今回の研究では、移植急性期の免疫モニタリングに基づく確度の高い発症リスク評価と発症前からの先制治療の開発を目指す。
昨年度までに、様々な移植法による移植を実施した患者を対象に、移植早期(2週、4週、8週、12週)の末梢血検体を連続的に解析した。この臨床検体解析から、B細胞恒常性異常は実際の慢性GVHD発症よりもかなり早い段階ですでに形成されていることを示唆されるとともに、移植後急性期のB細胞解析が慢性GVHD発症リスク評価に有用なツールとなる可能性が確認された。
この結果をもとに、マウス骨髄移植モデルを用いて、まず、①同種移植後におけるドナー造血幹細胞からの骨髄内B細胞分化異常のプロセスを解明し、②移植後早期からの骨髄内造血異常と慢性GVHD発症の関連を検討し、さらに、③移植後シクロフォスファミド投与(PTCy)によって同種免疫からの骨髄損傷を軽減化することで骨髄内B細胞分化異常および慢性GVHD発症を予防することの有用性を検証した。マウスMHC半合致移植を実施し、移植後早期からの骨髄内B細胞免疫再構築のプロセスを検討したところ、グラフト由来アロ反応性T細胞が移植直後に骨髄に多く浸潤すると、共通リンパ系前駆細胞からのB細胞骨髄内分化が遅延し、末梢での成熟B細胞ホメオスタシスが破綻することが明らかになった。この現象は、PTCyによってT細胞除去を行うことで回復し、正常なB細胞系列の再構築が促進された。さらにPTCy後に増加するTregについて検証したところ、グラフト由来Tregではなく、造血幹細胞由来Tregの維持が長期的なB細胞再構築に重要であり、慢性GVHDの発症抑制に寄与することが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Novel insights into GVHD and immune reconstitution after allogeneic hematopoietic cell transplantation2023

    • 著者名/発表者名
      Takanori Teshima, Jaap Jan Boelens, Ken-ichi Matsuoka
    • 雑誌名

      Blood Cell Therapy

      巻: 2 ページ: 1-6

    • DOI

      10.31547/bct-2022-023

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Hematopoietic stem cell-derived Tregs are essential for maintaining favorable B cell lymphopoiesis following posttransplant cyclophosphamide2023

    • 著者名/発表者名
      Sumii Y, Kondo T, Ikegawa S, Fukumi T, Iwamoto M, Nishimura MF, Sugiura H, Sando Y, Nakamura M, Meguri Y, Matsushita T, Tanimine N, Kimura M, Asada N, Ennishi D, Maeda Y, Matsuoka KI.
    • 雑誌名

      JCI Insight

      巻: 8 ページ: 1-21

    • DOI

      10.1172/jci.insight.162180.

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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