正常造血幹細胞(HSC)分画がCD35陽性・陰性の亜分画に分類され、CD35+HSCに補体カスケード抵抗性とより強い幹細胞性が確認されたことからCD35陽性白血病幹細胞(LSC)の存在とその機能解析を行い、治療標的としての妥当性を検証すべく実験を行った。多数例での解析で、CD35はLSC分画の34.1±16.8%に発現を認めた。LSCマーカーとして知られるTim3と同時に発現解析を行うと、CD35陽性細胞はCD34+CD38-CD45RA-Tim3+分画に有意に濃縮された。フローサイトメトリーで純化したCD35+/-LSC分画を用いて、機能解析を実施した。補体結合アッセイではCD35+分画で補体結合が少ない傾向が見られたものの、vitroで細胞培養では補体添加の有無に関わらず、両者の生存やコロニー形成能に差異を認めなかった。 今後は遺伝子発現や蛋白発現を比較解析し、CD35陽性分画の機能的特徴や治療標的となる特定の分子・シグナル経路などの存在を明からにする必要がある。
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