研究課題/領域番号 |
20K08756
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
木村 晋也 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359794)
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研究分担者 |
安藤 寿彦 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30363097)
服部 奈緒子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30611090)
久保田 寧 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60570413)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 慢性骨髄性白血病 / 免疫 / メチル化 |
研究実績の概要 |
我々は新規経口可能なメチル化阻害剤 OR-2100を開発している (Blood 2020)。令和3年度は主にOR-2100の慢性骨髄性白血病(CML)、特に CML幹細胞への効果について検討し、Cancer Letters 誌に以下の結果を報告した。OR-2100は、単剤で CML細胞株の増殖を阻害し、さらに併用によりチロシンキナーゼ阻害剤 (TKI)の効果を増強した。またOR-2100によるメチル化阻害でCML幹細胞に影響を及ぼす遺伝子としてLXN など6つを抽出した。CML幹細胞を評価可能なマウスモデルを作成し、in vivo においても OR-2100はCML幹細胞の枯渇を促進することを証明した。これらの結果は、今後 OR-2100を CMLに臨床応用する際の根拠となる。 また並行して、OR2-2100の骨髄異形成症候群 (MDS) と AML に対する効果についても検討し、結果を Molecular Cancer Therapeutics 誌に報告した。さらに、将来的にOR-2100が臨床で使用された場合、耐性を来すことが予想されるため、OR-2100 の耐性機序に関する研究も進めた。その結果、白血病細胞のデオキシシチジンキナーゼ(DCK)の発現低下がOR-2100の耐性機序となることを明らかにし、International Journal of Cancer 誌で報告した。 CMLにおける免疫に関しては、我々が行ってきたCMLにおける3つのTKI中止試験(DADI試験、1st DADI試験、DOMEST試験)に登録された患者から再度検体を収集し、現在HLAとNK細胞のkiller cell immunoglobulin-like receptor (KIR)の遺伝子多型の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和4年度に、CML幹細胞に対する OR-2100 の効果を、モデルマウスで検討する予定であったが、令和3年度内に実験が完了し、論文も掲載されたため、当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
我々が行ってきたCMLにおける3つのTKI中止試験(DADI試験、1st DADI試験、DOMEST試験)に登録された患者からの検体収集はほぼ完了しており、令和4年度内にHLAとNK細胞 KIR の遺伝子多型の解析を完了し、HLAとNK KIR の遺伝子多型が、TKI 中止成功に関与かを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の一人である久保田 寧氏は、2021年に佐賀大学から埼玉医科大学に異動されたため、予定していた 10万円全てを執行できませんでした。そのため、次年度使用額が生じました。次年度に物品費として使用予定です。
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