研究課題/領域番号 |
20K08759
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
飯田 真介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (50295614)
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研究分担者 |
李 政樹 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (00567539)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多発性骨髄腫 / cfDNA / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
本研究では、多発性骨髄腫の病勢進行(再発・再燃や髄外腫瘤形成、中枢神経系浸潤など)やプロテアソーム阻害薬や免疫調節薬などの薬剤感受性に関わる因子を同定する目的にて、骨髄および末梢血から、単核球DNAおよび血清中のcell free DNA(cfDNA)を抽出し、病態や薬剤感受性に関わる遺伝子変異を検索し、病勢の進行や治療薬の反応性などの臨床病態との関連を調べることを目的としている。 これまでに、初発未治療の多発性骨髄腫患者さんの末梢血血清由来cfDNAを中心に解析し、骨髄腫の腫瘍量と病勢に関連して、末梢血のcfDNAの量が変化することを見出してきた。また、ハイリスク染色体異常であるIgH-MAF転座症例を中心に病態に関わる遺伝子変異を骨髄腫細胞と末梢血cfDNAの双方でdry解析を行い、骨髄由来の骨髄腫細胞では同定しえなった複数の遺伝子変異・染色体構造異常が、末梢血中に同定されることが示された。このことは、ハイリスク症例では多発性骨髄腫の主病変である骨髄組織以外にも他部位の骨髄中や髄外病変などにおいて別クローンが存在し、全身に存在する様々なクローン進化や髄外病変の遺伝子変異情報によって予後が規定され可能性があると考えられる。このように、多発性骨髄腫の病態進行や薬剤抵抗性に関与するクローンの持つ遺伝子異常を解析することによって、将来は病態に応じた治療薬選択に役立つ可能性があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多発性骨髄腫患者さんの骨髄由来の純化形質細胞および末梢血血清からそれぞれ、gDNAおよびcfDNAを抽出し、解析を行う上で十分な量があることを確認しライブラリー作成・シークエンス・データの収集は済んでいるが、その解析なまだ十分に行えていない。末梢血液中のcfDNAにおいて、多発性骨髄腫の薬剤や病態に関連する遺伝子群を中心に変異探索のdry解析を集中的に行う。研究は進行しているもののまだ途上にあると考え、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前述したように、多発性骨髄腫患者さんの骨髄由来形質細胞および末梢血血清からそれぞれ、gDNAおよびcfDNAから、得られたシークエンスデータのdry解析を進める予定である。特に、一般的に予後が不良であるハイリスク染色体異常を有する症例を中心にデータ解析を行い、末梢血cfDNAの遺伝子変異情報と、病態や予後、治療薬の効果などの関連解析へと繋げていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由: 研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。 使用計画: 引き続き、次世代シークエンスに必要な試薬群(ライブラリー作成試薬、シークエンス試薬など)を購入する。さらには、抽出された核酸のなかでも、cell free DNAおよびマイクロRNAの解析として、必要な試薬群も購入し、dry解析に必要なソフトウェア等を拡充する。
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