多発性骨髄腫の予後不良因子である髄外増幅の発症と予後悪化の機序は未解明であった。私たちは、骨髄腫細胞株を骨髄ストローマ細胞との共培養時にシェアストレスを加えると、骨髄腫細胞同士が凝集した細胞塊形成を見いだした。細胞塊形成は、ストローマ細胞の産生するヒアルロン酸(HA)と骨髄腫細胞に発現するCD44との結合を介しており、マウス骨髄腫モデルへのHA投与は髄外増幅を発症させた。一方、細胞塊の形成はCD44を切断、細胞内領域がプロテアソーム阻害剤耐性に働く機序を明らかにした。以上より、HAとCD44を介した経路が髄外増幅発症と薬剤耐性の獲得に働き、予後を悪化させる機序が明らかになった。
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