研究課題
2021年度も2020年度と同様に、免疫チェックポイント阻害療法施行前後での末梢血単核球の採取、保存を進めた。臨床情報の収集も同時に行っている。現在62検体の収集をすませており、うち免疫関連有害事象は22例で認めた。保存された末梢血単核球は、Tph細胞の同定のためCXCR5、PD-1、CD4、CD200による多重染色、および自己免疫関連B細胞(CD21lowCD11c陽性T-bet陽性B細胞)の同定のためにT-bet、CD19、CD21、CD11cなどによる多重染色を行った。PD-1の染色は、既に免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体投与後の場合は直接染色できないため、既報に従い抗PD-1抗体がIgG4抗体であることよりT細胞上でIgG4を染色することで間接的に検出している。現在、これらの収集検体を用いてTph細胞およびT-bet陽性B細胞、NK細胞などの免疫担当細胞の解析を行っている。その中の代表的な例として、ペムブロリズマブ投与中に筋炎の免疫関連有害事象を発症した例では、CD19陽性細胞中、CD21lowCD11c陽性B細胞の割合は発症前3.48%であったが発症後(免疫関連有害事象発症後10日)は10.5%、CD21lowT-bet陽性B細胞の割合は5.22%であったが発症後は11.5%、CD11c陽性T-bet陽性B細胞の割合は4.06%であったが発症後は10.7%であった。
2: おおむね順調に進展している
2021年度は予定としていた以下の点を達成した 。(1)2020年度に引き続き臨床データおよび検体の収集と保管(2)解析を進めることが出来た。その結果少なくとも一部の免疫関連有害事象ではCD21lowCD11c陽性T-bet陽性B細胞が発症後増加していることが確認できた。以上より、現在までの研究進捗状況は概ね順調に進展していると判断する。予定していたTph細胞の機能解析に関しては今回施行できていないが、免疫関連有害事象とTph細胞の関連が明らかになった際に施行の予定としている。
2021年度の研究より免疫関連有害事象に関連している自己免疫関連リンパ球が得られてきていることから、このまま計画を進めていく。今後の推進すべき点として以下を考えている。(1) Tph細胞の機能や発現遺伝子の解析;フローサイトメトリーで免疫関連有害事象とTph細胞の関連が明らかになった際には、これらの細胞におけるIL-21やCXCL13の発現を蛋白レベルもしくはmRNAレベルで確認できればTph細胞の確証となる。(2) T-bet+B細胞の動態解析(3)引き続き検体、臨床データの収集と総合的解析以上を2022年度に進めていく。
研究は次年度も継続し、今年度費用では研究の消耗品購入額が不足したため、次年度予算を追加して購入予定である。
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