研究課題/領域番号 |
20K08786
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
松下 一史 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20581549)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 慢性気道炎症 / アレルギー / Th2 / ILC2 / 肥満細胞 |
研究実績の概要 |
マウスの肺に複数の抗原(ブタクサ、ハウスダスト、アスペルギルス)を長期間(6週間)連続で曝露することで慢性気道炎症モデルを作製した。これにより肺への好酸球浸潤を伴う炎症応答を誘導することができた。同時に肺でのIL-5/IL-13産生性の2型自然リンパ球ならびにTh2細胞の増加が認められた。さらに、本モデルはマウスへの抗原曝露終了後にも肺でのIL-1aやIL-33 mRNA発現が上昇し、炎症症状が長期間持続した。 本慢性気道炎症モデルを用いてRegnase-1AAマウスと野生型マウスで炎症誘導直後ならびに誘導後1、2、6ヶ月の肺炎症の程度(炎症細胞の浸潤、組織像、肺での炎症性遺伝子の発現)を比較した。肺の炎症像、肺への好酸球や好中球をはじめとした炎症細胞の浸潤、肺でのmRNA発現を解析したところ、Regnase-1AAマウスでは野生型マウスと比較して炎症症状が減弱していることが明らかとなった。これに付随してRegnase-1AAマウスの肺ではIL-5/IL-13産生性の2型自然リンパ球ならびにTh2細胞が減少していることがわかった。また、肺での様々な炎症性因子のmRNA発現を解析し、Regnase-1AAマウスにおいて発現量の低下している因子を同定している。 in vitroにおいてRegnase-1AAマウスから骨髄由来肥満細胞を作製、IL-33で刺激したところ、野生型細胞と比較してIL-4, IL-6, IL-13の産生が減弱していることが明らかとなった。IgE ligationによる刺激ではRegnase-1AA細胞からは野生型細胞と同等のサイトカイン産生を認めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroでの実験が予定していたものよりもやや遅れてはいるが、最も重要なin vivoでのマウスモデルの樹立、ならびに遺伝子改変マウスを用いた解析を一通り終えることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
in vitroにおいてTh2細胞や肥満細胞を用いた解析を行う。また、in vivoモデルにおける細胞種ごとのRegnase-1の役割を検討するために細胞移入の実験を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
in vivoモデルの作製が予定していたよりスムーズに進み、想定していたマウスの使用量を下回った。また、in vitroの実験に関しては予定していたよりも実験が進んでいないため、これもまた使用する動物数が少なくなった。次年度には予定していたin vitroの実験を終えるとともに、in vivoの細胞移入実験等で多数のマウスを必要とするため、本年度の研究費のあまりも使用すると考えられる。
|