2年目までの研究結果からRegnase-1AAマウスでは複数抗原(ブタクサ、ハウスダスト、アスペルギルス)を長期間(6週間)連続でマウスの肺に曝露することで誘導した慢性気道炎症モデルにおいて、野生型マウスに比べて肺の炎症症状が軽微であることがわかった。ただし、抗原曝露停止後の回復期において当初に予想していたよりも野生型マウスの回復が早く、Regnase-1AAマウスとの差は認められたものの、その差は予想よりも小さいものであった。そこで最終年度はRegnase-1AAマウスでの肺炎症の誘導期に関してより広い知見を得る目的で、マウスの肺へ水酸化アルミニウムゲル+OVAの曝露後、エアロゾルでOVAを吸入、肺へのOVA/IL-33の曝露、肺へのOVA/IL-1aの曝露の3つの異なる肺炎症の実験系を検討した。その結果、肺への好酸球浸潤、血清中totalならびにOVA特異的IgE産生といったアレルギー性の炎症応答は、水酸化アルミニウムゲル+OVAの曝露→エアロゾルでのOVA吸入では野生型マウスとRegnase-1AAマウスで差がなく、肺へのOVA/IL-1a曝露では軽微な差、肺へのOVA/IL-33曝露では比較的大きな差となった。したがって、Regnase-1AAマウスではIL-1aよりもIL-33を介したアレルギー性炎症の誘導において、野生型マウスを比較してより顕著な差を認めることがわかった。さらに肺へのOVA/IL-33曝露よりも複数抗原の長期間曝露ではさらにRegnase-1AAマウスと野生型マウスで肺炎症の誘導に関して差が大きく、Regnase-1AAマウスではIL-33への反応のみならず、IL-33の産生に関してもdefectがある可能性が明らかとなった。
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