研究実績の概要 |
我々は、補体古典経路のinitiator proteinであるC1qに対する自己抗体(抗C1q抗体)が全身性エリテマトーデス(SLE)、抗リン脂質抗体症候群患者(APS)や(Oku, Rheumatology(Oxford), 2016)、APS/SLEを含めた習慣流産患者全般の血清中に高率に認められることと、モデルマウスを作成してその機序が補体活性化による胎盤炎症であることを報告した(Ohmura, Oku, Clin Immunol, 2019)。一方、胎盤炎症は胎児の神経発達障害を誘発し、C1qが胎児の神経成長に重要な役割を来すことが知られ、実際に上記モデルマウスでも出産した場合、仔は自閉症様の特徴を認める。 本研究では、balb/c妊娠マウスへ抗C1qモノクローナル抗体(JL-1)を投与して出産した仔の自閉症様特徴を解析することを目的とした。balb/c妊娠マウスに妊娠8、12日目にJL-1を12.5ug/body投与し、出産後4、6、8、12週齢マウスにおいて高架式十字迷路、three-chamber試験、nose-to-nose sniffing testを行った。positive controlとしてはIL-17A投与モデル(1ng/body 妊娠8, 12日目投与)を用いnegative controlはJL-1と同量のマウスコントロールIgG、PBS投与例を設定した。その結果、雌雄共にいずれの試験でもnegative controlと比べて自閉症様行動異常を8、12週齢で認めた(高架式十字迷路では、open fieldへの出現頻度、three-chamberやnose-to-nose sniffingでは相互の接触頻度で検定)。4週齢、6週齢マウスでは個体差が大きく今回の検討では統計学的な有意差に至らなかった。マウス個体の体重などサイズの変化は認めなかった。
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