研究課題
好酸球や好中球は粘液内でETosisをきたしており、細胞外トラップは粘性を有していることがわかっている。そこで、ヒト末梢血から好酸球・好中球をそれぞれ高純度分離し、in vitroでETosisを誘導した。その後、培地を撹拌したのちに培養液を除去して、死細胞を凝集体として回収した。この外観は対照的で、好酸球は茶褐色を帯びた不整形の凝集体となり、好中球は白色の柔らかい痰のような凝集体を形成した。この死細胞の集合体の物理学的な性状(物性)をCT値、乾燥重量、疎水性、粘弾性という観点から定量することを試みた。この結果、CT値、乾燥重量、疎水性がいずれも好酸球で高く、副鼻腔粘液の性状ともほぼ一致した。また、レオメーターで測定した粘弾性も、せん断速度が高くなるほど粘性が低下する非ニュートン流体の特徴を示した。これらのことから、気管支や副鼻腔に増加した顆粒球の活性化と細胞外トラップの形成は、細胞のみで臨床的な粘液と同様の物性を呈しうることが想定された。崩壊した好酸球・好中球を凝集せしめるのはクロマチンからなる細胞外トラップだが、この線維はDNA分解酵素:DNaseで溶かすことができる。さらに、ヘパリンの濃度・時間依存性に細胞外トラップが弛緩することが観察された。これはヘパリンとヒストンの相互作用によるものであり、構造変化は電子顕微鏡でも確認された。ヘパリンが細胞外トラップを構造を「ほぐす」のみならず、DNaseの分解作用を促進すること、さらに、実際の副鼻腔粘液でもDNaseとヘパリンが粘性を改善することを見いだし、新しい性粘液の治療戦略として有望であることを示した。
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