シェーグレン症候群(SS)におけるNR4Aファミリーの意義と、治療標的としての可能性を検討するにあたり、今年度は、当研究室で樹立したSSモデルマウスである、T細胞特異的RORγtトランスジェニックマウス(RORγt-Tg)を用い、NR4Aアゴニストを用いたin vivoにおける治療実験を行った。NR4Aアゴニストとして、その作用が報告されているアモジアキン(AQ)、ヒドロキシクロロキン(HCQ)を用いた。RORγt-Tg(6週齢)において、治療群はAQ(50mg/kg)あるいはHCQ(40mg/kg)を、コントロール群はそれぞれと等量のリン酸緩衝食塩水(PBS)を3日毎に腹腔内投与し、投与開始2週後に顎下腺および涙腺を摘出し、組織学的にリンパ球浸潤の程度(Focus score)を評価した。AQ投与群の顎下腺、涙腺におけるリンパ球浸潤(Focus score)は、コントロール群と比較し、同等であった。HCQ投与群の顎下腺におけるリンパ球浸潤(Focus score)は、コントロール群と同等であったが、HCQ投与群の涙腺におけるリンパ球浸潤(Focus score)は、コントロール群よりも減弱した。今後は、HCQにおけるNR4Aアゴニストとしての免疫学的作用を、NR4Aが重要な役割を果たす中枢性、末梢性免疫寛容の観点から検討する。また、SS患者(全身性エリテマトーデス合併例)におけるHCQ投与例と、患者背景をマッチングしたHCQ非投与例の末梢血T細胞における免疫学的特性を比較し、HCQ投与による免疫学的変化と臨床所見との関連を検討する。
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