研究課題
近年、2次リンパ組織の濾胞内胚中心で濾胞性T細胞(Tfh細胞)を抑制する細胞として濾胞性制御性T細胞(Tfr細胞)が同定された。Tfr細胞はC XCR5、PD-1などTfh 細胞と共通の表面抗原を複数発現し、その分化にBcl6が必須である点もTfh細胞と共通しているが、Tfh細胞分化に重要な働 きを持つAscl2がTfr細胞の分化や機 能発現に関与しているか否かは不明であった。そこで本申請研究では、Tfr細胞に発現するAscl2の機能とimiquimod 誘導性ループスにおける役割を解析するとと もに、SLE患者におけるTfr細胞内Ascl2の発現とSLE病態の臨床指標との相関を解析 し、Ascl2を標的としたTfr細胞/Tfh細胞バランスの制御による新規SLE治療法 開発のための基盤を確立することを目的としている。これまでのところ申請者は、 imiquimod 誘導性ループスにおいて、1)Tfr細胞がAscl2、Bcl6、CXCR5、FOXP3を高発現していること、2)制御性T細胞は Ascl2、Bcl6、CXCR5していないことを確認した。これまでの報告では、Tfr細胞は制御性T細胞から分化してくることが知られているため、申請者の得た結果よ り、Ascl2は制御性T細胞からTfr細胞に分化する際に発現してくることが明らかとなった。本年度、Tfr細胞分化におけるAscl2の役割を明らかにするため、FOXP3プ ロモーターの下流でCre recombinaseが発現するFOXP3-CreマウスとAscl2-floxedマウスを交配し、Tfr細胞特異的Ascl2欠損マウスを作成した。今後は、Tfr細胞特異的Ascl2欠損マウスに imiquimod 誘導性ループスを惹起し、Tfr細胞分化を解析する。
2: おおむね順調に進展している
本年度申請者は、て濾胞性制御性T細胞(Tfr細胞)分化におけるAscl2の役割を明らかにするため、FOXP3プロモーター の下流でCre recombinaseが発現するFOXP3-CreマウスとAscl2-floxedマウスを交配し、制御性T細胞(Treg細胞)特異的Ascl2欠損マウスを作成した。本マウスが自己免疫様病態を発症するか否か、自然経過を観察中である。また、これらのマウスにおける抗原刺激誘導性のTreg細胞、Tfr細胞、濾胞性T細胞(Tfh細胞)分化を観察したところ、Tfr細胞分化が障害されていることを見出した。この結果はAscl2がTfr細胞分化において重要な役割を担っていることを示している。次年度ではAscl2によるTfr細胞分化の制御機構を明らかにする予定である。上記のように本年度はAscl2がTfr細胞分化に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。本研究課題の進捗状況は概ね順調に進展していると考えられる。
これまで申請者は、 imiquimod 誘導性ループスにおいて、1)濾胞性制御性T細胞(Tfr細胞)がAscl2、Bcl6、CXCR5、FOXP3を高発現していること、2)制御性T細胞(Treg細胞)はAscl2、Bcl6、 CXCR5していないことを確認している。さらに本年度は、Tfr細胞分化におけるAscl2の役割を明らかにするため、FOXP3プロモーターの下流でCre recombinaseが発現する FOXP3-CreマウスとAscl2-floxedマウスを交配し、Treg細胞特異的Ascl2欠損マウスを作成し、これらのマウスにおける抗原刺激誘導性のTreg細胞、Tfr細胞、濾胞性T細胞(Tfh細胞)分化を観察したところ、Tfr細胞分化が障害されていることを見出した。この結果はAscl2がTfr細胞分化において重要な役割を担っていることを示している。今後は、Treg細胞特異的Ascl2欠損マウスに imiquimod 誘導性ループスを惹起し、Tfr細胞分化を解析する。また、本マウスにおけるループス様病変として抗核抗体や抗ds-DNA抗体、抗RNP抗体、抗Sm抗体の 抗体価、並びに糸球体腎炎の発症を病理学的に解析する。糸球体病理像についてはPAS染色のみならず、IgGやC3の沈着を免疫染色を用いて解析する。また、腎機 能については血中のクレアチニン測定により評価する。以上より、Tfr細胞内Ascl2の全身性エリテマトーデス病態形成における役割が明らかになる。
新型コロナウイルス感染症流行による海外物品輸入遅延の影響により、一部実験計画を延期せざるえなかったため次年度繰越金が発生した。延期された実験計 画については2022年度に施行予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
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