研究課題/領域番号 |
20K08808
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
安藤 智暁 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10724669)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マスト細胞 / IgE / アレルギー |
研究実績の概要 |
免疫グロブリンE (IgE)とその高親和性受容体FcεRIは即時型アレルギーに関わる重要な分子である。本研究は、ヒトIgEのCε2部位が即時型アレルギー反応などにおいて重要IgE-FcεRIシグナルに果たす役割と、その機能部位を明らかにすることを目的とする。本年度はまずCε2-Cε4に結合するFabライブラリーのうち、Cε2に結合するサブセットの選定を行った。Cε2、およびCε2-Cε3断片を哺乳類細胞株において組換えタンパク質として発現し、精製した。これらを用いて結合ELISAおよびヒトIgEに対する競合ELISAを行ったところ、Cε2に反応するFabクローンが多数検出された。Cε2の機能部位の検索に十分な多様性が得られたと考えられる。驚くべきことに、免疫の際にCε2-Cε4を抗原として用いていたにも関わらず、Cε3、Cε4に結合するクローンは比較的少数にとどまった。このことから、Cε3、Cε4に対するFabライブラリーを作製する際には、これらの部位を単独で抗原として用いる必要があることが明らかになった。さらに本年度は、これらのサブライブラリーを用いて機能アッセイをするためのツール作製を行った。FcεRIから遊離したIgEを検出するためのタグ付加IgEや、FcεRIへの結合量を調べるための蛍光ラベルIgE、また抗原結合量を測定するための蛍光ラベル抗原を作製した。さらに、ヒトFcεRIを発現したマウス骨髄由来マスト細胞も作製し、組換えヒトIgEの結合およびこれを介した活性化が可能であることを確認できた。これらの成果により、機能スクリーニングに必要なツール群が確立された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Fabライブラリーのサブセットの選定、および機能的スクリーニングのためのツール群の確立が当初の予定通りスムーズに進行した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本年度の成果であるツール群を用いて機能的スクリーニングを行う。また、IgEおよびFcεRIの機能に影響を与えるFabが検出された際に、詳細な機能部位を探索するため、Fabが交差反応しない免疫グロブリンドメインで一部を置換したCε2タンパク質を作製する。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の実験において予定よりも安価に実験が進行できたため残額が生じた。次年度の機能的スクリーニングの際に必要な細胞培養、抗体、およびマスト細胞を作製するためのマウス飼育等に使用する予定である。
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