研究実績の概要 |
61名の重症慢性特発性蕁麻疹患者に対して, オマリズマブ投与前のfree IgE値 (pre-free IgE) , total IgE値 (pre-total IgE)および抗IgE自己抗体値とオマリズマブ治療効果の関連に関して解析を行った. 当該研究は, 日本大学医学部附属板橋病院臨床研究倫理審査委員会に臨床試験の申請をし, 承諾を得た. オマリズマブ1回目投与前に採血した. オマリズマブ2回目投与までの4週間のUAS7の平均値とオマリズマブ投与3回目から4回目までのUAS7の平均値を用いて治療効果を判定した. 平均UAS7が6以下をresponder, 6より大きい場合をnon-responderとし, responderとnon-responderの2群間においてまずpre-free IgE値とpre-total IgE値に有意差があるかどうか評価した. 投与開始0から4週間後の平均UAS7で分類したresponderとnon-responderではpre-free IgE値, pre-total IgE値は有意差がなかった. 次にオマリズマブ投与開始8から12週間後の平均UAS7で分類したresponderとnon-responderの2群間でのpre-free IgE値、pre-total IgE値の有意差検定を行ったところ, pre-free IgE値, pre-total IgE値両者ともresponder群で有意に高かった. Pre-free IgEのカットオフ値は, 133.3 ng/ml, 感度は, 57.1%, 特異度は, 85%であった. Pre-total IgEのカットオフ値は, 327.6 ng/ml, 感度は, 71.4%, 特異度は, 72.5%であった. 従って, 慢性特発性蕁麻疹に対してオマリズマブの治療効果を判定するbiomarkerとしてpre-free IgEがpre-total IgEに勝るものではなかった. しかしながら投与開始0から4週間後の平均UAS7で分類したresponderとnon-responderでは抗gE自己抗体値はnon-responderにおいて有意に高かった. その機序としてIgEとオマリズマブの複合体を抗gE自己抗体がIgEとオマリズマブの複合体を解離させることが分かった.
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