研究課題/領域番号 |
20K08821
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
森永 芳智 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (30580360)
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研究分担者 |
村田 美香 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (30866976)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | colonization resistance / 薬剤耐性菌 |
研究実績の概要 |
糖利用で変化する細菌叢データを基にして、近い菌種の菌株を利用したin vitroならびにin vivoでの実験ができるように、マウス由来の常在細菌を様々な条件下で培養し約200株ほど拾いあげた。新たに50株ほどの遺伝子学的同定を進め、既に保有する常在菌ライブラリーを更に充実させた。また、薬剤耐性臨床分離株(大腸菌・クレブシエラなど)を約150株収集し、保有薬剤耐性遺伝子(基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ型)やシークエンスタイプなど基本的な細菌学的プロファイルの評価を行った。 マウスに感染可能なESBL産生性の大腸菌・肺炎桿菌株をモデルとして、糖質制限を加えたケトジェニックダイエット下では、薬剤耐性菌の短期的な定着菌量増加が観察された。一方で、長期的な定着菌量では、通常ダイエットの比較して薬剤耐性菌が少ない結果が得られた。この経時的な変化の背景にある細菌叢の変化について、解析中である。 派生した成果として、遺伝子学的なプロファイルを整備する中で、Klebsiella quasipneumoniaeとKlebsiella pneumoniaeとが臨床検査では識別できずに混在していることが明らかとなり、感染対策などで用いられる菌株相同性解析上も両者が識別されないまま解析されることが分かった。それぞれが保有するβ-ラクタマーゼの違いを利用することにより両者の識別が可能であることが分かった。 これらの進捗の内容は、2022年European Conference of Clinical Microbiology and Infectious Diseasesで4演題の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖代謝に関わる研究で、薬剤耐性定着に大きな影響を及ぼす糖質の特定にまでは至らないが、糖質制限下で定着率に影響が出ることが確認されたことは、in silicoのデータを元に着手した本研究がin vivoで所見を捉えた点で意義が大きい。 また、基本的な菌株プロファイルを行ったことにより、未知の臨床での課題が明らかとなり、その解決策を提示できた点で有益な成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は若手育成として、申請者所属の大学独自のカリキュラムである研究医養成コース所属の学部学生とともに研究を推進することが可能であること、今年度の博士課程大学院生のテーマとしても本研究課題が関係しているため、継続して連携する。 前述のように3名の学部学生が4演題を国際学会で発表を行っているように、研究成果は一定の評価を受けており、可能なものから論文化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物を利用する研究よりも細菌の解析を優先させる事情が生じ、実験動物は次年度に継続して行うように研究計画を変更したため。
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