研究課題
非結核性抗酸菌とアスペルギルスのquorum-sensingを主体とした細胞間コミュニケーションに着目し、真菌や非結核性抗酸菌のautoinducer、二次代謝産物が、真菌や非結核性抗酸菌の増殖・バイオフィルム形成能や、免疫担当細胞、ならびに肺胞上皮細胞に与える影響、マウスにおける病原性への影響を検討した。1) in vitroにおける、アスペルギルスの増殖能、バイオフィルム形成能に対する非結核性抗酸菌の代謝産物や菌体外酵素の相互的作用をみることを目的とし、4種類の非結核性抗酸菌の培養上清を抽出し、アスペルギルスと共培養する実験系を構築した。これら4菌種の培養上清のうち、特に、Mycobacterium abscessusの培養上清が、アスペルギルスのバイオフィルム形成能を増強することをXTT assayにて証明した。また、形成能に与える影響を含有する物質が、上清中の水相により多く含まれていることを明らかにした。2) ヒト気道三次元微少環境モデルを用いた肺胞上皮細胞の免疫応答に対するアスペルギルスの二次代謝産物、autoinducerの影響をみる目的として、ヒト気道三次元微少環境モデル構築を試みモデル作成に成功した。アスペルギルスの胞子が肺胞上皮細胞のアポトーシスと線維芽細胞の増殖を促すことを証明した。3) アスペルギルスに対するマクロファージの免疫応答と二次代謝産物やトキシンの影響をみるためにマウスを用いた慢性肺アスペルギルス症(アスペルギローマ)モデルを確立した。病理学的にアスペルギルス菌球に対してマクロファージが泡沫細胞化して応答していることを見いだした。以上より、アスペルギルス、非結核性抗酸菌の単独、あるいは共感染時の病態解明に寄与する新知見が見いだされ、アスペルギルスと非結核性抗酸菌との細胞間コミュニケーションにより相互の病原性を増強している可能性を示した。
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