研究課題
大腸菌等の病原細菌を用い、in vitro及びin vivo(マウスを使用したモデル)での研究を進めている。当初の予定通り、大腸菌類についてin vivo感染実験を、経口投与もしくは静脈注射で行い、感染後に宿主に誘導される抗体の回収をした。本研究結果の汎用性を図るため、更に、院内感染で重要な肺炎桿菌についても同様の実験を行い、感染前後のマウスから血清を回収した。肺炎桿菌の実験では、複数の菌株を使用し、in vivoでの感染実験の結果から生存率、生存期間中央値等の結果を基に、強毒株と弱毒株にグループ分けを行った。特に強毒株感染で誘導される抗体についての解析を準備している。共同研究者と議論を重ね、臨床で大きな問題となっている黄色ブドウ球菌に対する免疫応答についても、新たに研究開発をすすめている。in vitroの実験では、感染後のマウスから抽出したB細胞からハイブリドーマを作る準備を進めた。また、黄色ブドウ球菌については、自然免疫系の活性化が強いことを考慮し、マウスから抽出したマクロファージに菌体を貪食させる実験を行った。この実験では各種のシグナル阻害剤を使用し、致命的な炎症に関わる新規のシグナル経路の候補を見出すに至った。細菌叢解析は、感染前後のマウスから採取した糞便を処理し、順次DNA抽出を進めている。また、回収した血清中の抗体を解析したところ、細菌叢の違いにより誘導される抗体の種類が異なることが示唆されたため、そのメカニズムについて解析を進めている。
3: やや遅れている
所属部門の新型コロナウイルス検査対応のため、研究活動に十分な時間を割けなかったため。
当初の予想とは異なる、発展性のある重要な結果も出てきているため、慎重に研究を進める。
新型コロナウイルス対応により可能な実験が限られたので、当初予定よりも使用金額が減少した。当初の予定に追いつくべく、次年度使用額と併せて翌年度分助成金を使用する。主に感染モデルに使用する実験動物の購入・飼育費、抗体の解析に使用する試薬の購入費に充てる予定。
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