研究課題/領域番号 |
20K08843
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
柳原 克紀 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40315239)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マイクロバイオーム / dysbiosis / 薬剤耐性菌 / ESBL |
研究実績の概要 |
ESBL産生菌の代表的な菌種である肺炎桿菌の病態を解析するために分子疫学的解析を実施した。本研究では血液培養から分離された肺炎桿菌を対象にした。高病原性肺炎桿菌(hypervirulent Klebsiella pneumoniae, hvKp)のマーカーであるrmpAの検出や莢膜血清型の決定、MLSTによる菌のタイピングを行った。対象となった268株のうちrmpA陽性株は36株(13.4%)であった。rmpA陽性株では陰性株と比較して、他の病原因子の保有率や、血清型K1、K2である割合が有意に高い結果となった。MLSTではrmpA陽性36株のうちST23/K1が最も多く、次いでST86/K2であった。一方、ST412、ST268を多く認めた。臨床像ではrmpA陽性群において肝膿瘍を生じた症例が22.2%(陰性群7.4%)と有意に多く、抗癌剤の投与歴は8.3%(陰性群26.9%)と有意に少なく、侵入門戸が胆道系感染症である割合は8.3%(陰性群27.8%)と有意に低い結果となった。併存症、既往歴、重症度、死亡率では有意差を認めなかった。肺炎桿菌の分子疫学的特徴および血流感染症の臨床像が明らかになった。 マウスの腸内環境を抗菌薬で前処理することで細菌叢が攪乱した“dysbiosis”(腸内細菌叢を構成する細菌種や細菌数が減少することにより、細菌叢の多様性が低下した状態)を誘導し、臨床分離ESBL産生菌を定着させる。抗菌薬を含む選択培地を用いて、腸管内容物を培養し、菌種の同定と定量を行う。Co-housing を行い、定着群と対象群の糞便を採取し、OTU(operational taxonomic unit)などにより構成細菌種の特定や菌種組成の解析を行った。抗菌薬で腸内細菌叢(マイクロバイオーム)のdysbiosisを誘導することは薬剤耐性菌(ESBL-E.coli)の定着に影響することが示された。腸内細菌叢の一部の構成細菌群がESBL-E.coliの定着抵抗性に関与していることが示唆された。これらの結果はマイクロバイオームを活用した耐性菌の定着抑止が有用であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は動物実験を実施し、有益な結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
耐性菌定着への関与が予測された細菌群および代謝産物を解析する。 定着マウスに対するプロバイオティクスの効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は動物実験のマウス費用が予想より低くなった。次年度の追加実験で使用する。
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