研究課題/領域番号 |
20K08844
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
腰塚 哲朗 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (20416267)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サイトメガロウイルス / Nedd4 |
研究実績の概要 |
本研究はHCMV UL42遺伝子の機能解析を切り口として、ウイルスが細胞側機能を制御するメカニズムを明らかにすることを目的としている。HCMV UL42はヘルペスウイルス科ウイルスの多くに保存されている分子であり、宿主ユビキチンE3リガーゼNedd4ファミリーの働きを制御する。Nedd4ファミリーは標的となるタンパク質をユビキチン化し、そのタンパク質の運命を変化させる。今年度の検討により、HCMVが持つ糖タンパク質であるgBがNedd4ファミリーによるユビキチン化を受けており、UL42がこれを防御する可能性を明らかにした。gBは感染細胞内で非常に多量に生産される分子であり、UL42の欠損やgBのユビキチン化状態の変化はウイルス感染力などの変化に直結しなかったが、UL42が感染細胞内でNedd4ファミリー分子の機能を制御することが明らかとなった。このほかに、Nedd4が標的とするオートファジー関連分子についても検討を進めている。マウスCMVについては病原性を持った組換えウイルスを構築するための準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルス感染症対応の影響があり、当初予定していた事項よりも進んでいない点がある。一方で、新規の現象も見出しており、今後は全体のバランスを取りながら研究を展開する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の検討により、UL42の有無が感染細胞内でのタンパク質のユビキチン化に影響を与えることが明らかとなった。オートファジー関連分子については、Nedd4の影響下にあるとされるものについて、それぞれのユビキチン化状態を検討していく予定である。 また、マウスCMVについて、病原性を保持した組換えマウスCMVを構築し、UL42を変異させる。得られた組換えウイルスをマウスに接種し、病原性に与える影響を調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は物品費436,065円、その他223,710円を計上した。いずれも本研究の遂行に必要な経費であり、適正な支出であると考えている。本年度はコロナウイルス感染症の流行に伴い、各学会が実施されなかったり、オンライン化されたため、旅費を支出しなかった。また、次年度使用額540,225円を計上したが、これは翌年度請求額と合わせて、物品費などに使用する予定である。
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