研究課題/領域番号 |
20K08847
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
吉野 友祐 帝京大学, 医学部, 教授 (60624509)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | HIV / 遊離テストステロン / 生活習慣病 / Tatタンパク / 長期合併症 / 性腺機能低下 |
研究実績の概要 |
2021年度は主に臨床に関して大きく進展した。帝京大学医学部附属病院に通院していた男性People living with HIV(PLWH)60症例を対象として解析を行った。結果として血清遊離テストステロン低値がPLWHに広く認められ、健常人と同様に加齢により低下をすることが明らかとなった。また、PLWHにおいて、総コレステロール高値や高血圧症の合併、ヘモグロビンA1C高値といった生活習慣病に関わる因子と遊離テストステロン低値が有意に関連していることを証明した。この結果は、現在論文化し投稿中であり、査読を受けている状態である。
基礎的な側面については、残念ながら性腺細胞からのテストステロン産生や肝細胞からのSex hormone binding proteinの産生へ影響を及ぼすHIVのウイルスコンポーネントは認められなかった。一方で、副次的な結果ではあるがHIVの構成要素であるTatタンパクが、腸管上皮細胞に影響し、腸管粘膜の透過性を亢進する可能性があることを見出した。近年、腸管粘膜の透過性亢進、いわゆるleaky gutが男性性腺機能低下と関連があるという指摘もあり、Tatタンパクの腸管粘膜への影響については、今後引き続き基礎的な評価を続けていく予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床面については、男性People living with HIVにおける生活習慣病と性腺機能低下との関連について、一定の結果が確認され、現在論文投稿にまで至っている。 基礎的な側面については、当初想定していた結果とは違うが、新たなHIVコンポーネントの機能を見出しており、以上から順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床面については、今後国際誌への論文の掲載を目指し、査読者からの評価を待って修正などを行っていく予定である。基礎的な側面については、新たに見出したHIV Tatタンパクの腸管粘膜への影響について、そのメカニズムの評価を行っていく予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症のpandemicにより国際学会参加が困難であったため。今年度も発表が困難な可能性が高く、基礎的研究へ使用を検討している。
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